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 かかりつけ医通信    第64号   2004年3月2日発行
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    健康・医療のお役立ち情報・・・医療の現場から
 私達は、医療の現場で働く臨床医です。実際の診療やネット上から
 得た健康と医療の役に立つ情報を、市民の皆さんにお届けします。
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今年は温かい冬です。幸いインフルエンザも下火になってきたようです。
今回はひきつづき整形外科疾患と、介護保険の在宅サービスについて紹介し
ます。
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▼目次▼
1) 腰椎椎間板ヘルニアについて

2) 在宅での介護サービスについて
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1) 腰椎椎間板ヘルニアについて

 「かかりつけ医通信」前号63号の腰痛症についてもあわせて参考にしてくだ
さい。
○ はじめに

 私たちの身体の中心には背骨が通っています。24個の骨が積み木のように重
なっていて、この骨と骨の間には椎間板とよばれる軟骨があり、クッションの
役割をはたしています。ところが、老化や激しい運動などで椎間板が外に飛び
出し、神経を圧迫することがあります。激しい痛みやしびれを引き起こしてし
まうのです。これが椎間板ヘルニアです。
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○ 症状について

 ヘルニアの程度によって自覚症状もさまざまですが
  腰が前に曲がりにくい
  腰や背中がひどく凝る
  腰を曲げると太股やふくらはぎにしびれるような痛みが走る
 いわゆる坐骨神経痛といいます。なおこれは俗称で病名ではありません。
  歩行困難になる
  尿が出にくくなったり、便秘がちになる
 このような症状があるようなら、椎間板ヘルニアの可能性があります。
整形外科などの専門医に、早めに診せましょう

腰椎椎間板ヘルニア(日本整形外科学会)
http://www.joa.or.jp/jp/committee/iryosys2003091203.html

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○ 原因

 椎間板の老化です。髄核(中心部のゼリー状のもの)の水分量は年齢ととも
に減少して粘り強さがなくなり、圧力に耐えきれずに線維輪(外側の固いもの)
を破って突出しやすくなります。椎間板ヘルニアの原因になる可能性のある動
作としては、重いものを持ち上げる、引っ張る、体をひねる、長時間の座り仕
事などがあげられます。これらに共通するのは、背骨に負担をかけるという点
です。
 椎間板は縦方向の力には強いのですが、曲げやねじりには比較的弱い性質を
もっています。物を持ち上げるときは中腰でなく膝を使って持ち上げるように
するなど、日常生活においても気をつけたいものです。

腰椎椎間板ヘルニアについて
http://www.med.or.jp/forest/check/hernia/index.html

腰椎椎間板ヘルニアについて
http://www.tahara-seikei.com/764.htm
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○ 治療
 痛みが強い間は安静が第一で、補助的に消炎鎮痛薬などの薬物療法を行いま
す。痛みがある程度落ち着いたら、牽引、温熱などの理学療法を始めます。日
常の生活動作に注意することも大切です。必要であれば装具(コルセット)を
つけ、痛みが治まったら運動療法(腰痛体操)も行います。

○主に外来で行う治療
腰痛の基本
1)安静
 安静は大切な治療法です。楽な姿勢を見つけ、痛みがひくのを待ちます。大
 抵は仰向けになるのは辛く、ひざの下に枕を入れたり、横向きになって背中を
 丸めると楽になります。痛む場所は最初冷やし、1〜2日経ったら温めるのが
 一般的ですが、最初から温めた方が気持ちがよければ温めてください。

2)薬物治療
 炎症や痛みを抑える消炎鎮痛剤(内服薬、坐薬、パップ剤、軟膏など)、筋肉
 の緊張を和らげる筋弛緩薬、筋肉や神経の代謝や血のめぐりを良くするビタミ
 ン剤(B1、B12、Eなど)が使われます。骨粗鬆症には、骨量の減少を防ぐ活性
 型ビタミンDやカルシウム製剤、カルシトニン、エストロゲンを使います。精神
 的な問題が背景にあるような場合には、精神安定薬や抗うつ薬も使われます。
 症状がある間はきちんと飲んでください。副作用は胃腸障害や眠気程度です。
 あまり症状が激しいときは、痛み止めの坐薬も有効です。

3)理学療法
 理学療法とは、軽くひっぱったり、熱であたためるなどして治療する方法で
 す。急性期をすぎてから行います。消炎鎮痛として、レーザーや干渉波やマイ
 クロウエーブなどです。

 a.) 骨盤牽引(こつばんけんいん)
  腰痛で最もよく行われるのは骨盤牽引です。
 牽引する(引っぱる)といっても、強く引っぱって椎間板の間を広げるのでは
 なく、筋肉の緊張をとって安静に保つための治療です。体重に合わせて15〜20
 分間断続的に牽引する間歇牽引(かんけつけんいん)、ごく弱い力で数時間牽
 引する持続牽引があり、効果がある場合があります。引っ張ることによって戻
 すわけではありません。無暗に錘をあげないでください。

 b) ホットパック(温熱療法)
  患部を暖めることで、血のめぐりをよくして筋肉の緊張と痛みをとる治療法
 です。ほとんどの腰痛に有効ですが、炎症が起こっている(腫れたり熱を持っ
 ている)場合はしてはいけません。
 暖めた粘土やタオルを患部にあてる方法と、服の上から極超短波をあてる方
 法とがあります。ただし、極超短波は、金属を身につけていたり、他の病気の
 治療のために、からだの中に針などを埋め込んでいたりする場合は使えません。
 金属が発熱して危険だからです。その他、電気あんか、カイロ、入浴(ぬるめ
 のお湯にゆっくりつかる)なども立派な温熱療法です。

 c) 装具療法
  体重やからだの動きを支えたり、からだの変形を予防、矯正するために、か
 らだにつけるものを装具といいます。腰痛で使われるのは、コルセットです。
 腰痛では、背骨を支えている腹圧を抑えないように、あまり巾の広くないコル
 セットを使います。
 痛みが強い間は、横になっているとき以外ずっとつけていると、あまり痛ま
 ないで動くことができます。しかし、痛みが軽くなってきたら、作業をすると
 きだけ使うようにします。コルセットばかりに頼っていると、天然のコルセッ
 トである腹筋や背筋が弱くなってしまうからです。使い方の指示をきちんと守
 ることが大切です。

以上の治療で大部分の方(90%)は直ります
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○ 直らない場合は次の治療に移ります

● 神経ブロック
 神経ブロックは、痛みをとるだけでなく、痛みを和らげることで痛みの悪循
 環を断ったり、痛みを起こしている場所をはっきりさせるためにも行われます。
 局所麻酔薬(ときにはステロイド薬を併用)を注射します。目的によって、仙
 骨硬膜外ブロック、腰部硬膜外ブロック、神経根ブロック、椎間関節ブロッ
 ク、トリガーポイントブロックなどがあります。外来(注射後は安静が必要)
 、あるいは入院して行います。

1)硬膜外ブロック
 脊髄は硬膜という膜で包まれています。そこに麻酔剤を注入します。一回だけ
 のと、持続的に行う方法と2種類あります。
  一回のみ:主に外来で行います
 仙骨裂孔(お尻の割れ目の尾骨のすぐ上)より針を刺し麻酔剤 を注入します。
 注入後、両下肢が温かくなり、だるく動かなくなります。効果があった証拠で
 す。1−2時間安静にします。

 副作用;血行が豊富なところなので、血液に入ることがあります。その場合は
 頭痛や、血圧上昇が起こることがあります

2)神経根ブロック
 レントゲンテレビを見ながら、腰の神経根に針を刺します。腰の痛いところに
 針を刺す単なるブロックとは違います。非常に効果的です。欠点は神経に直接
 針を刺すので、非常に痛いことです。ただしすぐ麻酔剤が効くので、痛いのは
 一瞬です。
 ブロックのいずれを行うかは、主治医の判断です。一般的には、外来で、まず
 硬膜外ブロックを1−2回行い、効果がなければ、検査と、より厳重な安静と
 する。

神経ブロックとは
http://www.tahara-seikei.com/419.htm

腰椎椎間板ヘルニア(本田整形外科クリニック)
http://www.orth.or.jp/Hospital/kosi/herunia.html

腰椎椎間板ヘルニアの自然消退
http://www.chubu-nh.go.jp/orthopedics/hernia/hernia-2.html

これでほぼ95%近い方は直ります。これで直らなければ次に移ります。
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○ 主に入院後行う治療

 入院して、持続牽引(24時間)を行い、安静2−3週を行います。直らなけ
れば精査をします。たとえば検査:ミエログラム、椎間板造影、神経根造影など
を行います。その後(ブロックなどは、行う施設と行わない施設があります)

1)持続硬膜外ブロック:主に入院して行います
腰で、硬膜外にチューブをいれ、持続的に麻酔剤を流します。一回のブロックよ
りも、持続的なので、痛みの激しい方には 有効です。チューブが体外にあるの
で、管理が大変です。それで入院します。
2)神経根ブロック 1−2回
以上でだめなら手術となります。
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○ 手術

 手術は上記のような十分な保存的治療を行いそれでも治らない場合に、はじ
めてやむをえず考慮されます。単に腰痛が激しい、あるいは下肢のしびれがあ
る、あるいはMRIの所見があるだけで、具体的に下肢の知覚障害や筋力低下、保
存的治療で直らない、腰ではなく下肢の激しい痛みがなければ適応にはなりま
せん。
 そのほか、尿閉(尿が出ない)、進行する筋力低下、日常生活ができないほ
どの激しい痛みがある場合などに手術を行います。椎間板ヘルニアに対するラ
ブ法(部分椎弓切除・後方椎間板摘出術)と脊柱管狭窄症に対する椎弓切除術
とがあります。

○手術方法
 椎弓開窓術が一般的です。全身麻酔で50分程度でおわります。術後安静期間
は1−2週です。3週程度で退院できます最近は、切らないで、行う方法として、
経皮的髄核摘出術も行われます。利点も数多くありますが、ただし共通する欠点
として、
1)施行できる患者が限られる。
椎間板の脱出形態や年齢などで制限があります。従って誰にでも行えるわけで
はありません。
2)成績がやや不安定
 直視下で見ないで行うわけですから、成績は少し落ちます。いずれにしても主
治医の判断です。どの手術を行うかは、画像診断と症状で決まります。主治医に
納得できるまで相談下さい。その他、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離すべり症など
は保存的治療はすべて同じです。手術法は若干異なります。

内視鏡による腰椎椎間板ヘルニアの治療
http://www.iwai.com/html/geka/radiotanpa.htm - 17k

腰椎椎間板ヘルニアについて
http://www.med.or.jp/forest/check/hernia/index.html

腰椎椎間板ヘルニア入院体験記
http://www.yamaguchi.med.or.jp/g-med/onoda/pdf/88P5.pdf -
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●こんなことに気をつけよう−予防法

 腰痛を予防するためには、腰に負担をかけないよう、よい姿勢を心がける、
危険な動作をしないよう注意することが大切です。

 1.よい姿勢
 2.動作に注意
 3.腰にやさしい靴
 つま先に余裕があり、足の指をしめつけない 靴底が適度に厚く、着地の衝撃
 がひざや腰にひびかない かかとが高すぎず、安定している

 4.腰痛体操と歩く習慣
 腰痛体操の目的は治療というよりも予防が中心で、痛みがないときに腰痛の
 再発を防ぐために行います。腰痛体操には、脊椎の配列を正しくして(姿勢を
 よくして)筋肉や靱帯のこわばりと解く運動と、脊椎を支える腹筋と背筋を強
 くする運動とがあります。毎日続けることが大切です。運動すると却って悪く
 なるような場合はしてはいけません。いずれにせよ、腰痛体操を行うときは、
 医師と相談してから実施するようにしてください。
 徒歩(ウォーキング)や水泳(クロール、背泳ぎ)も腰痛予防に役立つ運動
 です。とくに、歩くことは腰に負担が少なく気軽に筋肉を鍛えることができま
 す。よい姿勢で汗ばむ程度の速さで歩きましょう。腰をひねるゴルフや全身を
 屈伸するテニスのサーブなどは、腰痛にはよくありません。

運動療法について
http://www2.eisai.co.jp/clinician/cl_02_512/cl_02_512_08.htm

腰椎椎間板ヘルニア(本田整形外科クリニック)
http://www.orth.or.jp/Hospital/kosi/herunia.html

 5.太りすぎない・やせすぎない
 太りすぎは重い荷物を背負っているのと同じで、腰に負担をかけます。太っ
 ている人は、減量しただけで腰痛がよくなることも少なくありません。一方、
 やせすぎると、筋力が低下して背骨をささえる機能が低下してしまいます。標
 準体重を保つことは、あらゆる病気の予防に大切なことなのです。

 6.骨を丈夫に
 若いときからカルシウムに富む食事をとり、適度な運動を続けることが大切
 です。

 7.腰を冷やさない
 とくに夏場のエアコンは要注意。冷気を直接あてるのは最悪です。

 8.横になって休息する
 できれば、1時間に10分くらい、横になって休息すると、腰にとって大助か
 りです。
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○ 参考文献
腰痛について(日本医師会)
http://www.med.or.jp/chishiki/youtuu/001.html

腰椎椎間板ヘルニア(日本医師会)
http://www.med.or.jp/forest/check/hernia/index.html

〜広報「健康さがみはら」〜腰椎椎間板ヘルニア
http://www.kanagawa.med.or.jp/sagamihara/kenkou/backnumber/text/990701/q907a.htm

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2) 在宅での介護サービスについて

○介護保険の在宅サービス  

 介護保険のサービスには、家庭などで利用する在宅サービスと施設に入所し
て利用する施設サービスがあります。今回は在宅で受けることの出来るサービス
について紹介します。
 介護保険で要支援、要介護と認定された方が利用できます。各サービスを利用
すると料金の1割が自己負担になります。料金は各サービス、時間、介護度等に
よって違いますので詳しい料金は担当のケアマネに問い合わせてください。
 また利用できる在宅サービスには上限があります。在宅サービスの利用料は、
要介護区分ごとに利用できる上限額(支給限度額)が決められています。利用
される方は、この支給限度額の範囲内で介護サービスを利用することになります。
上限額を超えてサービスを利用したときは、超えた分が全額利用者の負担となり
ます。
 介護サービス料金は「単位」という言葉が使われます。1単位10円で計算しま
すが、自己負担は1割ですので介護サービスの自己負担額は「単位」をそのまま
「円」にすれば良いと思います。
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○ 在宅サービスの上限額
 
  要支援     61,500円
  要介護  165,800円
  要介護2  194,800円
  要介護3  267,500円
  要介護4    306,000円
  要介護5    358,300円
 ※そのほかの在宅サービスについては、1日あたりの料金や月、年ごとに上限
が決まっています。
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○ 在宅サービス

◎訪問介護(ホームヘルプサービス)
 ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事、入浴、排せつなどの身体介助や、炊事、
 掃除などの生活援助を行います。 身体介護か生活援助かで料金が違います。
    -----------------------------------------------------
       〜30 分 30分〜1 時間 1時間〜1 時間30分  以降30 分ごと
 身体介護  231単位  402単位    584単位      83 単位
 生活援助   /     208単位    291単位      83 単位
    ------------------------------------------------------
  ※早朝・夜間は25%加算、深夜は50%加算となります。

 通院のための乗車・降車の介助は1回100単位ですので、自己負担は100円です。
  ※要支援の方は利用できません。運賃はすべて自己負担となります。

 また、本人以外の家族のための家事、草むしりや花木の手入れ、ペットの世話、
 洗車、雪かきなどの日常的な家事の範囲を超えるものは、介護サービスの対象
 とはなりません。
  1 回の訪問介護において「身体介護」と「生活援助」が混在する場合の取扱
 従来の「複合型」が廃止されたため、30 分ごとに「身体介護」と「生活援助」
 の所定単位数を組み合わせたケアプランによって、算定することになります。
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◎訪問入浴介護 

  浴槽を積んだ入浴車などが自宅を訪問し、入浴サービスを行います。
  料金は1回につき    1,250単位で、自己負担は1,250円です。

 *1 主治医の意見を確認の上、介護職員3 人で訪問入浴介護を行った場合、所定
  単位数の95/100 を算定
 *2 全身入浴が困難な場合であって、利用者の希望により清拭または部分浴
 (洗髪、陰部、足部等の洗浄)を実施した場合は、所定単位数の70/100 相当
 を算定
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◎訪問看護 

 看護師等が自宅を訪問し、医師の指示にもとづき看護などを行います。医療と介
 護で利用できますが、介護保険での訪問看護は、訪問施設によって料金が違います。
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             〜30 分 30分〜1 時間 1時間〜1 時間30分  
 訪問看護ステーションから 425単位  830単位   1,198単位
 病院・診療所から     343単位  550単位      845単位
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 緊急時訪問看護加算
  訪問看護ステーション  540 単位/月 
  医療機関        290 単位/月 
 ターミナルケア加算(死亡月) 1,200 単位 
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◎訪問リハビリテーション
 リハビリの専門家が自宅を訪問し、医師の指示にもとづきリハビリを行います。
 1回につき    550単位、自己負担は550円です
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◎通所介護(デイサービス・日帰り介護)

 デイサービスセンターなどに通い、入浴、食事の提供等の日常生活上の世話、
 機能訓練などが受けられます。設置母体で料金が違いますが介護福祉施設併設
 の場合の料金は、下記の通りで、要介護度によっても違います。
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 特別養護老人ホーム併設型の場合
       3 時間〜4 時間 4時間〜6 時間   6時間〜8 時間 
  要支援    241単位   344単位    482単位
  要介護1 2   307単位   438単位    614単位
  要介護3 4 5  452単位   645単位    903単位
   介護度で料金が異なります。
---------------------------------------------------------------
◎通所リハビリテーション(デイケア)
 介護老人保健施設や医療機関などに通い、機能訓練が受けられます。
--------------------------------------------------
 介護老人保健施設の場合
       3 時間〜4 時間 4時間〜6 時間   6時間〜8 時間 
  要支援    283単位   404単位    563単位
  要介護1 2   351単位   500単位    699単位
  要介護3 4 5  488単位   694単位    972単位
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 ※通所介護、通所リハビリテーションは、その他に介護時間延長の加算や、
 食事提供39単位、送迎(片道)47単位、入浴介助44単位(または特別
 入浴料65単位)などが加算されます。
 また個別リハビリテーション加算として、医師、看護職員、理学療法士(PT)、
 作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST) 等が共同して作成した個別リハビリ
 テーション計画に基づいて、PT・OT・STが利用者ごとに個別にリハビリ
 テーションを実施した場合に1 日1 回130 単位加算できます。

これらが、主に在宅で利用できる介護サービスと基本料金です。勿論利用上限額
の範囲内で複数のサービスを利用できます。どんなサービスが必要なのか、また
利用料金の算定などはケアマネと利用者で相談の上サービスを受ける事です。
今回は施設サービスや在宅時の短期入所サービスは省略しました。
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その他の在宅サービス
◎福祉用具の貸与
 介護保険の対象となる福祉用具は、次のとおりです。介護を必要とする人に
日常生活で必要となる福祉用具を貸与(レンタル)として提供します。

 ・車いす(自走用標準型車いす、普通型電動車いす、介助用標準型車いす)
 ・車いす付属品(クッション、電動補助装置など)
 ・特殊寝台・特殊寝台付属品(マットレス、サイドレールなど)
 ・じょくそう予防用具(エアーマットなど)
 ・ 体位変換器・手すり(取り付け工事不要のもの)
 ・スロープ・歩行器・歩行補助つえ
 ・ 痴呆性老人徘徊感知機器
 (痴呆性老人が屋外へ出ようとした時、センサーにより感知し家族などへ通報
  するもの)
 ・ 移動用リフト(つり具の部分を除く)

 ただし、手すり・スロープについては、固定する等の工事を伴うものについて
 は住宅改修費の支給の対象となりますので、福祉用具貸与の対象とはなりません。
 また、貸与になじみにくい特定の用具については、福祉用具購入費の支給の対象
 となります。

サービス費用、利用者負担は1か月あたり実際に福祉用具貸与に要した費用の1割
ですが、用具の種類、事業者によってレンタル料が異なります。
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◎福祉用具購入費の支給

 貸与(レンタル)サービスでなく購入する場合は、少し手続きが異なります。
 介護保険の対象となる福祉用具は、次のとおりです。
  ○腰掛便座 ○特殊尿器(尿が自動的に吸引されるもの)
  ○入浴補助用具
   ・入浴用いす・浴槽用手すり・浴槽内いす
   ・入浴台・浴室内すのこ・浴槽内すのこ
  ○簡易浴槽 ○移動用リフトのつり具の部分 

 利用者1人あたり毎年10万円までで自己負担は実際にその福祉用具購入に要し
た費用の1割となります。
 例えば10万円の支給対象となる福祉用具を購入した場合、のちに9万円を支給
されますので利用者負担は1万円となります。
 ただし、一度全額(この場合は10万円)を利用者が支払うことになります。
 購入金額が10万円を超える場合には、10万円を超えた額の全額を自己負担する
ことになります。 
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◎住宅改修費の支給

 介護保険では在宅での生活を援助するため住宅の改修にも支給されます。
介護保険の対象となる住宅改修は、次のとおりです。
 ○手すりの取り付け
 ○ 床段差の解消
 ○ 滑りの防止、移動の円滑化のための床材の変更
 ○ 洋式便器などへの便器の取り替え
 ○ 引き戸などへの扉の取り替え
  ・ その他、各工事に付帯して必要な住宅改修

 利用限度額
 利用者1人あたり20万円まで利用できます。(原則一生涯適用。20万円まで
なら何回でも利用できます)
 ただし、引越しをした場合や要介護度が著しく高くなった場合(3段階以上)
については、今までに支給を受けた額をリセットし、再度支給を受けることがで
きます。
  例) 工事費用20万円の支給対象となる住宅改修を行った場合、のちに18万
円は還付されますので利用者負担は2万円となります。
 ただし、一度全額(この場合は20万円)を支払います。
工事費用が20万円を超える場合には、20万円を超えた額の全額を自己負担する
ことになります。

 福祉用具購入費と住宅改修費の支給については、一旦全額が自己負担となります。
領収証などを添えて市町村に申請すると、保険給付分(9割)が後から支払われます。

住宅改修費の支給にはケアマネの理由書が必要です。
 介護保険の対象となる住宅改修費の支給の対象となる改修を行う場合は事前に
ケアマネジャーに相談してください。希望の改修について専門的な助言を受けな
がら改修内容を決定し、住宅改修が必要と認められる理由書を作成してもらいま
しょう。
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○ 参考サイト

介護サービス料金のめやす
http://www.city.shiroishi.miyagi.jp/hoken/kaigo/meyasu/meyasu.htm

介護保険サービスの標準的利用料金
http://www.city.yokohama.jp/me/fukushi/kaigo/ryoukin.pdf
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●【WEB】 http://www.docbj.com/kkr/
  ご意見・ご感想等ございましたら、以下のメールアドレスへ
【MAIL】   kotui@docbj.com   
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購読のお申し込みと削除は、上記のホームページから直接出来ます。また過
去に発行したメールマガジンはこのホームページで参照可能です。
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 最近、読者の皆様から編集部宛にいろんなメールをいただいております。皆
様からのご意見も参考にして、メルマガ「かかりつけ医通信」の紙面づくりに
生かして行きたいと考えておりますので、どうぞご意見をお寄せ下さい。また
皆様から寄せられたメールは、出来るだけ紙面でご紹介していきたいと考えて
おりますので、事前の承諾なしにメルマガに掲載させていただく場合がござい
ます事をご了解下さい。匿名などのご希望や、掲載を望まれない場合には、そ
の旨御明記願います。
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【発行】「かかりつけ医通信」発行委員会
 当委員会は、趣旨に賛同した医師による、自発的な会です。
 他の既存の団体や会社に所属しているものではありません。
【編集】
(委員長)長島公之:長島整形外科(栃木県) 整形外科医
      http://www.docbj.com/
(委 員)五十音順
 安藤潔:荒川医院(東京都) 内科医
  http://www2u.biglobe.ne.jp/~andoh/
 外山 学:益田診療所(大阪府) 内科医
  http://www.toyamas.com/masuda/
 本田忠:本田整形外科クリニック(青森県) 整外外科医
  http://www.orth.or.jp/
 牧瀬洋一:牧瀬内科クリニック(鹿児島県) 内科医
  http://clinic.makise.or.jp/
 吉岡春紀:玖珂中央病院(山口県) 内科医
  http://www.urban.ne.jp/home/haruki3/index.html
 吉村研:吉村内科(和歌山県) 内科医
  http://www.nnc.or.jp/~ken
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