━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 かかりつけ医通信    第63号   2004年2月9日発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    健康・医療のお役立ち情報・・・医療の現場から
 私達は、医療の現場で働く臨床医です。実際の診療やネット上から
 得た健康と医療の役に立つ情報を、市民の皆さんにお届けします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2月に入り寒くなって参りました。インフルエンザも流行しています。体調
維持に心がけてください。今回は整形外科疾患と、いま話題の混合診療につい
てです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼目次▼
●腰痛症について
腰痛症とは
腰痛の原因
腰痛を起こす主な病気
腰痛の検査法と良くある疑問
腰痛の治療法
腰痛の予防方法

●特定療養費制度について(混合診療)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
----------------------------------------------------------------------
●腰痛とは?
 腰痛は、人間が立位歩行のために宿命的なものです。脊椎は、上半身にかか
る重力のすべてを支えなければならず、また少し前かがみをとったり、重い物
を持ったりすれば大きなストレスがかかります。常に重力というストレスに曝
されている脊椎が「もう、だめだ」と悲鳴をあげた状態が「腰痛」です。腰痛
というのは、椎間板や靱帯などの周囲の組織の神経や筋肉から発せられたメッ
セージということになります。
腰痛の基本
http://www.orth.or.jp/Hospital/kosi/jyoutuu.html

----------------------------------------------------------------------
●腰痛の原因
腰痛は、一般には姿勢の悪さや激しい労働や運動、老化が原因で腰に異常
が生じたために起こります。しかし、その他にも、内臓の病気、あるいは精神
的ストレスによって起こることもあります。腰痛を起こす原因は実にさまざま
なのです。
----------------------------------------------------------------------
●腰痛を起こす主な病気
 腰痛を起こす病気は、内臓の病気と精神的なものを除くと、脊柱やそれを支
える筋肉の異常です。俗にいう「ぎっくり腰」は、脊柱の異常によって急激に
起こる腰痛をいいます
 腰痛の中で最も多いのが、筋肉疲労による腰痛症です。脊柱は腰や背中の筋
肉によって支えられていますが、長時間の不自然な姿勢で負担をかけたりする
と、筋肉に疲れがたまったりして腰痛として感じられるのです。
 女性では、ホルモンバランスの関係で月経時に骨盤や背骨の靱帯が緩んで、
腰痛が起こることもあります。
 若年者で椎間板が後方へ突出して、神経をおされて、下肢に痛みが来る。こ
れが腰椎椎間板ヘルニアです。下肢痛がないとヘルニアとはいいません。中年
以降なら、椎間板だけでなく、周りの骨も神経を押すので痛みが来ることがあ
ります。これは腰部脊柱管狭窄症といいます。多くは変形性脊椎症によるもの
である。腰椎の一部が割れて、前方に腰椎がすべって、神経を押すこともあり
ます。これは腰椎分離すべり症といいます。いずれにしても、いろんな原因、
たとえば骨や、軟骨で、神経が押されれば、下肢の症状がでます。その押され
た原因によって診断名が異るわけです。原因は何であれ、本質はあくまで神経
根が押されたかどうかが問題です。
----------------------------------------------------------------------
●腰痛の検査
1.理学的・神経学的診断
 なでたり、たたいたり、圧したり、動かしたりして、骨や筋肉の異常を調べ
ます。また、ハンマーで膝やアキレス腱をたたいたり、筆でなぜて感覚を確か
めたり、足や指の動きを観察することで、脊髄神経(神経根)のどの部分が障
害されているかがわかります(高位診断)。

2.画像検査
 X線検査では、変形性脊椎症の骨棘や、脊椎分離症の骨折、脊椎すべり症の骨
のずれ、骨粗鬆症による圧迫骨折などがわかります。さらに神経の状態など、
より詳しく知るためにCT(コンピューター断層撮影法)検査やMRI(核磁気共鳴
画像)検査が必要になります。

3.骨量測定
 骨量によって骨粗鬆症の進行度を知ることができます。骨量を測定する方法
には、二重エネルギーX線骨密度測定(DXA)や単純X線撮影(MD法、DI法)、
CT、超音波法があります。骨量は測定機器や測り方によって異なるため、正確
な診断や治療のためには同じ施設で継続して検査を受けることが大切です。

4.電気診断法
 電気診断法は、筋肉や神経に異常がないかを調べるために行われます。筋肉
の活動性を見る筋電図と、電気信号の伝わる速度をみる末梢神経伝導測定があ
ります。

5.一般検査、その他
 血圧測定、血液検査(貧血の有無、白血球数)、おしっこの検査などを行い、
炎症性の病気や内臓の病気がないかを調べます。髄液(脳脊髄液)を調べるこ
ともあります。
-------------------------------------------------------------------
●検査での疑問
○単純レントゲン検査
腰のレントゲンで変形があるといわれ、整形外科の先生に変形は一生直らない
といわれました。どうすればよいのでしょう。腰痛が一生続くのでしょうか?
回答:
 これは、よくおこる誤解です。たとえば、中年以上の方が、腰痛で受診され
てレントゲン等を取れば、下肢のしびれなどがなければ、多くは「変形性脊椎
症」という病名がつきます。同世代の方の腰のレントゲン写真をとれば、症状
の有無に関係なく、大体同じような骨変化を示します。では同じような腰椎の
変形のある方が、すべて腰が痛くなるのかといえば、そういうことはありませ
ん。確かに変形があれば正常の方よりは腰痛がきやすいとはいえますが、痛み
は使いすぎや筋力不足などの日常生活のなかでの問題で起こることが多いわけ
です。従って、安静や薬物治療、その他腹筋を鍛えるなどの、いろんな努力を
することで、症状のない快適な生活をおくることができます。レントゲンで変
形があるから、かならず症状が出るとはかぎらないわけです。

○MRI検査:
腰のMRIという検査をしたら椎間板がでているといわれました。これはヘル
ニアでしょうか。だとすれば手術しなければいけないのでしょうか。
回答:
 腰のMRI写真で椎間板が突出しているだけでは、特に問題はありません。
これは症状のない方でもMRI等を検査すればよくある現象です。脊椎という
のは単なる入れ物であり、大切なのはそのなかの神経なのです。神経が椎間板
で圧迫されれば、下肢痛や痺れなどのいろんな症状が出ます。下肢痛が、薬物
治療その他のいろんな治療で直らなければ、そこではじめて突出した椎間板の
切除などの手術も考慮されます。下肢痛などの症状がなく、椎間板の突出のM
RI所見だけでは、あまり病的意義はありません。したがって、椎間板の突出
があっても、それが直らなくても、神経根が押されなくて下肢の症状がなけれ
ば特に問題もないし治療の必要もありません。

まとめ
形態学的変化と機能的障害は必ずしも一致しません。形がおかしくても、症状
がなければ治療は必要ありません。当然検査もそれ以上は必要ありません。MRI
などでヘルニア所見を見つけられても症状がなければ何等困らないわけですか
ら、当然治療も必要はないわけです。

正常人における腰椎MRIの異常所見の頻度
http://www.tvk.ne.jp/~junkamo/new_page_10.htm

----------------------------------------------------------------------
●治療
 痛みが強い間は安静が第一で、補助的に消炎鎮痛薬などの薬物療法を行いま
す。痛みがある程度落ち着いたら、牽引、温熱などの理学療法を始めます。日
常の生活動作に注意することも大切です。必要であれば装具(コルセット)を
つけ、痛みが治まったら運動療法(腰痛体操)も行います。

○主に外来で行う治療
腰痛の基本
1)安静
 安静は大切な治療法です。楽な姿勢を見つけ、痛みがひくのを待ちます。大
抵は仰向けになるのは辛く、ひざの下に枕を入れたり、横向きになって背中を
丸めると楽になります。痛む場所は最初冷やし、1〜2日経ったら温めるのが
一般的ですが、最初から温めた方が気持ちがよければ温めてください。

2)薬物治療
痛み止め、筋弛緩剤、胃腸薬、気持ちを落ち着かせる薬などをのみます。症状
がある間はきちんと飲んでください。副作用は胃腸障害や眠気程度です。あまり
症状が激しいときは、痛み止めの坐薬も有効です。

3)理学療法:
急性期をすぎてから行います。消炎鎮痛として、レーザーや干渉波やマイクロ
ウエーブなどです。
腰椎牽引も行います:これは安静を保つためです。引っ張ることによって戻すわ
けではありません。無暗に錘をあげないでください。
装具療法:
 体重やからだの動きを支えたり、からだの変形を予防、矯正するために、か
らだにつけるものを装具といいます。腰痛で使われるのは、コルセットです。
腰痛では、背骨を支えている腹圧を抑えないように、あまり巾の広くないコル
セットを使います。
 痛みが強い間は、横になっているとき以外ずっとつけていると、あまり痛ま
ないで動くことができます。しかし、痛みが軽くなってきたら、作業をすると
きだけ使うようにします。コルセットばかりに頼っていると、天然のコルセッ
トである腹筋や背筋が弱くなってしまうからです。使い方の指示をきちんと守
ることが大切です。

以上の治療で大部分の方(90%)は直ります
--------------------------------------------------------------
●腰痛(激痛)
Q「腰が痛くて動けません。どうすればよいでしょう」
A「4ー5日痛みがとれるまで、ひたすら安静にすることです」

通院に便利なお近くの整形外科を直ぐ受診することです。下肢の痛みや痺れが
ないなら、あまり心配なさる必要はありません。痛みが比較的楽なら薬物治療
と外固定(腰椎バンド)で対処します。もっとひどい場合、あるいはこれで直
らないなら、安静度を上げる必要があります。

 動けないような腰の激痛は、4ー5日の安静臥床で必ずとれます。中途半端
な安静ではなかなかとれません。洋風の生活の方が楽でしょう(ベット、洋式
トイレ)堅いベットに、仰向けなら、膝下に枕を入れてねる。横なら膝を曲げ
て寝ればよいでしょう。下肢痛は、腰で神経が押されている(椎間板ヘルニア
などで)証拠です。これをとるには2ー3週以上の安静が必要です。あまり痛
いときは、痛み止めの坐薬を使ってください。1日2回まで使っても構いませ
ん。
---------------------------------------------------------------------
●慢性の腰痛
Q「2ー3年前から、慢性の腰痛で悩んでいます。病院を変えてもなかなかと
れません」

A「慢性の腰痛は自己の努力が大切です。医者まかせではなおりません」
解説
 これも年齢によって若干病名は異ります。ただ基本原則はおなじです。40
歳以前は腰痛症といって、レントゲンでは異常がなく、肥満や運動不足無理な
姿勢によって起こるものです。中年以降は変形性脊椎症といい、脊椎の老化も
加わってきます。いずれにしても、腰痛は普段の生活や労働で、無理な姿勢を
とっている方、肥満の方、運動不足の方に多いのです。こういうかたは常に腰
に負担がかかることになります。従って、ちょっと無理すれば、すぐ腰が痛く
なります。もうひとつは、腹筋と背筋の筋力低下があります。この二つの筋肉
で、背骨を支えていますので、この2つの筋肉が弱くなれば、腰痛がきます
 肥満や運動不足など日常生活そのもののなかに原因があることが多いのでラ
イフスタイルを変えていかないとなかなか治らない病気です。
-----------------------------------------------------------------------
慢性腰痛の治療
 長期にかかりますので、お近くの通院に便利な整形外科を受診なさり、薬物
治療やリハビリを継続的に受けられることです。腰痛をなおすためには、日常
生活で腰の負担がかからないような姿勢を覚える。筋力不足が原因であること
が多いですから普段から、水泳などの運動をやって、腹筋と背筋を鍛えること
です。暖めながら行うと有効です。また肥満があるならやせること。靴が原因
であることも多いので、靴のかかとが高すぎたり低すぎることも問題です。チ
ェックしてみてください。iいずれにしても医者まかせにしては、なおりません。
自分の努力が必要です。下肢にしびれや痛みが出てきたらこれは腰椎で神経が
押されている証拠です。若いときは椎間板が原因であることが多く、椎間板ヘ
ルニアといいます。ある程度の年齢になると腰椎の変形が原因であることが多
く、腰部脊柱管狭窄症という病名になることが多いのです。

-----------------------------------------------------------------------
●こんなことに気をつけよう−予防法
 腰痛を予防するためには、腰に負担をかけないよう、よい姿勢を心がける、
危険な動作をしないよう注意することが大切です。

1.よい姿勢
日常生活の注意
http://www.orth.or.jp/Hospital/kosi/lumbaradl.html
安静の仕方は楽な恰好であれば構いません。なお仰向けに寝るなら膝下に毛布
を入れて膝を曲げたほうがよいでしょう

2.動作に注意
3.腰にやさしい靴
 つま先に余裕があり、足の指をしめつけない 靴底が適度に厚く、着地の衝撃
がひざや腰にひびかない かかとが高すぎず、安定している 
4.腰痛体操と歩く習慣
 腰痛体操の目的は治療というよりも予防が中心で、痛みがないときに腰痛の
再発を防ぐために行います。腰痛体操には、脊椎の配列を正しくして(姿勢を
よくして)筋肉や靱帯のこわばりと解く運動と、脊椎を支える腹筋と背筋を強
くする運動とがあります。毎日続けることが大切です。運動すると却って悪く
なるような場合はしてはいけません。いずれにせよ、腰痛体操を行うときは、
医師と相談してから実施するようにしてください。
 徒歩(ウォーキング)や水泳(クロール、背泳ぎ)も腰痛予防に役立つ運動
です。とくに、歩くことは腰に負担が少なく気軽に筋肉を鍛えることができま
す。よい姿勢で汗ばむ程度の速さで歩きましょう。腰をひねるゴルフや全身を
屈伸するテニスのサーブなどは、腰痛にはよくありません。
運動の仕方
http://www.orth.or.jp/Hospital/kosi/lumbarex.html
なお運動は急性期にしてはいけません

5.太りすぎない・やせすぎない
 太りすぎは重い荷物を背負っているのと同じで、腰に負担をかけます。太っ
ている人は、減量しただけで腰痛がよくなることも少なくありません。一方、
やせすぎると、筋力が低下して背骨をささえる機能が低下してしまいます。標
準体重を保つことは、あらゆる病気の予防に大切なことなのです。

6.骨を丈夫に
 若いときからカルシウムに富む食事をとり、適度な運動を続けることが大切
です。

7.腰を冷やさない
 とくに夏場のエアコンは要注意。冷気を直接あてるのは最悪です。

8.横になって休息する
 できれば、1時間に10分くらい、横になって休息すると、腰にとって大助か
りです。
---------------------------------------------------------------------
○肥満の問題
 食事等で入ったエネルギーが、どの様に消費されるかによってきまります。
入ってきたエネルギー(これをインプットとします)をちょうど使い切れば(エ
ネルギー使用量をアウトプットとします)、プラスマイナスゼロで体重は増減
なし、より使えば体重は減少しますし、逆に使わなければ、余分なエネルギー
は脂肪として蓄積されます。

肥満がどの程度かは、毎日のインプットとアウトプットのバランスできまりま
す。従って考え方は入ってくるエネルギー、すなわちインプットを減らすこと。
端的にいえば食事のカロリ−を減らすことです。大体1800kcalぐらい
からはじめる。効果を見ながら1500kcaぐらいで維持する。糖尿病の患
者さんように書いた絵入りの食事の本があります。そういうのを利用してカロ
リーを覚える。

またアウトプットすなわちエネルギー使用量をふやすこと。これは運動ですね。
これも換算表はあるのですが。大体400kcalぐらい消費してくれればよ
い。運動の種類は何でもよいですが、膝のわるい方はあまり歩かないことです。

食事で大切なことは三食をきちんときまった時間に食べること。かつ量を減ら
すこと。間食をしないことです。1週間ぐらい食事のカロリー計算をすると大
体の自分のカロリーがわかります。カロリーというものをきちんと把握するこ
とです。食事の内容を書いた日記をつけるとよいようです。あとは大切なのは
毎日きまった時間に体重計にのって体重日記をつけることです。これは自分へ
の動機付け、すなわちモチベーションを高めるという意味です。張り合いがな
いと中々続きません。目標は1ヶ月で2−3kgぐらいづつ下がればよいです。
また水分補給はたっぷりしてください。また努力してやせたと思って安心して、
元の生活に戻ると瞬く間に体重は戻ります。結局生活を立て直さないと肥満は
解消できないということになります。体重維持はそういう意味では普段の努力
ですからなかなかむずかしい事です。

----------------------------------------------------------------------
●参考文献

腰痛について
http://www.med.or.jp/chishiki/youtuu/001.html

腰椎椎間板ヘルニア
http://www.med.or.jp/forest/check/hernia/index.html

腰椎椎間板ヘルニア(本田整形外科クリニック)
http://www.orth.or.jp/Hospital/kosi/herunia.html

〜広報「健康さがみはら」〜腰椎椎間板ヘルニア
http://www.kanagawa.med.or.jp/sagamihara/kenkou/backnumber/text/990701/q907a.htm
Q and A
千葉大学大学院医学研究院整形外科学教授 守屋秀繁
http://www2.eisai.co.jp/clinician/cl_02_512/cl_02_512_08.htm
--------------------------------------------------------------------
●特定療養費制度について
特定療養費制度は、混合診療や差額徴収を原則的に禁止した中で、行政指導で
認めてきた差額ベッドや歯科の材料差額を健康保険法で認め、保険給付との調
整を図るために導入した制度です。医療費の一部は保険から給付されますが、
足りない分(差額)を患者さんから徴収できることを合法化したものです。19
84年に導入され、高度先進医療と選定療養(患者さんが選択できる特別のサー
ビス・差額ベッドなど)の2種類があり、中医協で決められます。

現行の医療保険制度においては

○保険適応になるための用件は
1)あくまで疾病に対して適応になる
 美容、妊娠、交通事故などの第3者行為は適応外。ホテルコストも適応外。
2)効果があること:EBMが充分あること
3)充分普及していること
 実験的治療は認められない。皆保険制度であるから費用対効果を考えざる
を得ない。

以上3つの用件が満たされることが必要です。必要度の高い医療は、きちんと
保険適応になれば良い。そうでないと憲法で保障された健康が維持できない。

○混合診療の定義
 公的保険の費用と自由診療の費用を一つの治療のなかで混合させること
健康保険においては現物給付が前提ですから、サービスに線引きはできません
混合診療を使用としたら現物給付を現金給付に変えないとできません。

○特定療養費制度
 これは混合診療の部分的合法化です。高度先進医療と選定医療に分類されま
す。特定療養費に認められないものは否定されることにもなります。

○高度先進医療 
高度先進医療はこの制度下では上記の3要件、たとえば効果は証明されたが普
及していない治療に対し保険診療に移行するまでの、あくまで過度的につなぎ
として、認めるものである。当然、不合理な面があれば、この制度の枠内で、
コンセンサスがでてくればその基準を変えることは可能です。心臓移植が普及
してきたら順次保険適応とする。抗がん剤が要件を満たせば保険適応にする。

○いわゆる混合診療について
 経済諮問会議のいっている混合診療は、上記の過度的なつなぎを認めず、
財源がないとの理由により、必要な医療を最小限として、健康保険適応の枠を
狭め、それ以外を永続的に保険適応外にするということです。

○自己責任の原則
 財源がないためにひたすら保険適応範囲を狭めていき、医療保険では最低限
だけ保障する。あとは自己責任の原則で自分の健康は自分で守りなさい。
よって国の負担だけが軽くなり、国民の自費診療は軽医療、先進医療とも際限
なく増加してきます。特に高額な医療、心臓移植などは数千万単位ですから
到底支払いが不能となります。よって予防的に保険会社と医療保険契約するこ
とになります。

○保険会社の介入:マネジドケア
そうなると現在交通事故の自賠責で問題になっているようなことが起こります。
1)治療の早期打ち切り
 経済的側面からの医師と患者の間への診療への介入。医師と患者の間の合
意がおもに経済的事由で打ち切られます。
2)不払い
 治療費の不払い。アメリカの医療そのものですね。患者と医師不在の医療と
なります。保険者が、すべてをきめます。
---------------------------------------------------------------------
●参考文献
いわゆる「混合診療」について
http://www8.cao.go.jp/kisei/giji/02/wg/action/02/4.pdf 

高度先進医療
http://www.mhlw.go.jp/topics/0106/tp0601-1.html 

特定療養費制度の拡充について
http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/12/tp1226-1.html 

混合診療禁止の法的根拠
http://www.mars.dti.ne.jp/~frhikaru/rinri/kongoshinryo.html

高度先進医療
http://www.enjoy.ne.jp/~h.simizu/tokuryo.html 

180日超「選定療養費制度」
http://www.khosp.or.jp/whatsnew/issue02036.html 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
●【WEB】 http://www.docbj.com/kkr/
  ご意見・ご感想等ございましたら、以下のメールアドレスへ
【MAIL】   kotui@docbj.com   
---------------------------------------------------------
購読のお申し込みと削除は、上記のホームページから直接出来ます。また過
去に発行したメールマガジンはこのホームページで参照可能です。
----------------------------------------------------------
 最近、読者の皆様から編集部宛にいろんなメールをいただいております。皆
様からのご意見も参考にして、メルマガ「かかりつけ医通信」の紙面づくりに
生かして行きたいと考えておりますので、どうぞご意見をお寄せ下さい。また
皆様から寄せられたメールは、出来るだけ紙面でご紹介していきたいと考えて
おりますので、事前の承諾なしにメルマガに掲載させていただく場合がござい
ます事をご了解下さい。匿名などのご希望や、掲載を望まれない場合には、そ
の旨御明記願います。
----------------------------------------------------------
【発行】「かかりつけ医通信」発行委員会
 当委員会は、趣旨に賛同した医師による、自発的な会です。
 他の既存の団体や会社に所属しているものではありません。
【編集】
(委員長)長島公之:長島整形外科(栃木県) 整形外科医
      http://www.docbj.com/
(委 員)五十音順
 安藤潔:荒川医院(東京都) 内科医
  http://www2u.biglobe.ne.jp/~andoh/
 外山 学:益田診療所(大阪府) 内科医
  http://www.toyamas.com/masuda/
 本田忠:本田整形外科クリニック(青森県) 整外外科医
  http://www.orth.or.jp/
 牧瀬洋一:牧瀬内科クリニック(鹿児島県) 内科医
  http://clinic.makise.or.jp/
 吉岡春紀:玖珂中央病院(山口県) 内科医
  http://www.urban.ne.jp/home/haruki3/index.html
 吉村研:吉村内科(和歌山県) 内科医
  http://www.nnc.or.jp/~ken
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━