━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  かかりつけ医通信    第59号   2003年10月18日発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     健康・医療のお役立ち情報・・・医療の現場から  私達は、医療の現場で働く臨床医です。実際の診療やネット上から  得た健康と医療の役に立つ情報を、市民の皆さんにお届けします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼目次▼    臨時号  1) 総選挙 各党の「マニフェスト」を読んでみて      1.各政党の医療への理解は極めて乏しい     2.プライベート医療の「特権」よりもフリーアクセスの「市民権」を  2) 各党のマニフェスト抜粋 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 衆議院解散後、総選挙の日程は10月28日の公示、11月9日投票と決まりました。 これから選挙戦に入りますが、今回の選挙は各党とも「マニフェスト・選挙公約」 をインターネット上に公開、「マニフェスト選挙」とも言われています。 そこで今回は臨時号として各党のマニフェストから、私たちに関係のある「医療・ 介護」の部分を抜き出してみました。年金に関する記載もあるのですが、今回は 紙面の都合で割愛します。これら抜粋部分で明らかなように、各党の記載には相 違が認められ、共産党のように財源論まで言及しているものもあります。そこで 私たちが各党のマニフェストを読んだ印象をまとめてみました。 (尚、各党の抜粋部分につき、その詳細をお知りになりたい方は各党のホームペ ージでご覧下さい。) ----------------------------------------------------------- ○ マニフェストを読んでみて 1)各政党の医療への理解は極めて乏しい マニフェストをみる限り、どの党もあまり社会福祉に関しては踏み込んだ意 見を書いていません。若干の例外を除き、この国の形をどうしていくのかと いうことに関して、高齢化社会の在り方に関して、何も言っていないと同じ です。特に社会保障に関しては及び腰であり、残念ながら選挙公約としては あまり期待出来ないようです。 2)プライベート医療の「特権」よりもフリーアクセスの「市民権」を 日本の医療制度は皆保険制度と混合診療禁止という制度により、完全に厚労 省のコントロール下におかれています。いわば社会主義医療です。その結果、 医療費増は見事にコントロールされ、国民は、極めて安価でフリーアクセス の存在下で、それなりの質の医療を享受している現状です。しかるに政府は じめ各党とも、単に財源がないという理由で、社会保障は最小限として、患 者サービスの向上という名目で、混合診療導入、株式会社参入をはたし、あ とは「自己責任の原則」の元に、各自が民間保険(自動車任意保険のように) にはいって「自分の健康は自分で守る」という制度にしようとしております。 高齢化社会の負担は大体30兆円です。各政党のマニフェストをみても、そ の30兆円の財源捻出を提示できていません。選挙に負けることを、恐れて か各党とも、その財源を明確に出来ないため、高齢化社会のありようの明確 なデザインを描けておりません。福祉目的税をいったのは保守新党たった一 党です。財源はもちろん税金だけではなく、総合的な配分調整ですから共産 党の指摘しているような様々なアイディアはあるでしょう。 しかしその他の党ではそのようなアイディアもほとんど描かれておりません。 完全に逃げていると言っても良い状況です。 現在の小泉内閣の構造改革に賛成であれ、不賛成であれ、いずれにしても低 経済成長と高齢化社会で安心して働くためには、社会共通資本として病気や 怪我に対するセーフテイネットの構築が肝要かと思われます。そうでないと、 国民のみなさんはますます貯蓄を増やし消費に回さない。悪循環となります。 低医療費政策により、医療の原価が確保出来なければ、医療の質は低下しま す。また医療本体を縮小して混合診療と株式会社を導入すれば、当然、社会 保険外負担の際限のない患者負担増を招きます。それはアメリカで市場原理 の医療で失敗しているごとく民間保険は契約料が高いわけですから、任意保 険にはいらない方が増える。結局大部分の中産階級以下の方が、医療を受け れなくなります。自動車の任意保険でさえ3割の方ははいっておりません。 より高額な医療保険にはいる方はより少なくなるのではないでしょう。 一方イギリスやカナダはフリーアクセスを制限して、医療のムダを省くとい う名目で、病院を減らし、MRIなどの検査機器も、減らしすぎたため、検査 待ちや、癌の手術の待機患者が半年待ちがざらという状況となっております。 歯科などは保険外になり、じつに50%の方が歯科の民間保険を払えないた めに、齲歯には通販で買った歯科材料を自分でいれてチューインガムで押さ えるなどという笑えない話も出ております。 カナダにおいては、国民的討論により、医療費の増額を決議しました。 米国や、イギリス、カナダの失敗に学ぶべきであろう。世界に誇る皆保険制 度を堅持して、混合診療を禁止、株式会社参入を排除して、医療にもっと投 資をすべきであると考えます。またこの2つを堅持すれば医療費のコントロ ールも可能です。 なお高福祉国家を作ったから経済成長が鈍化するとは限りません。北欧諸国 をみてもわかります。要は国民のみなさんがどういう社会を望むかというこ とにかかっていると思われます。 最後にカナダで医療に関する国民的討議を行った委員会の委員長であるロマ ノウ氏のご意見を引用します。 「公的医療と民間のプライベート医療の併存を求める圧力は,われわれが直 面する重大な危機である。それは富める者向けの医療とそうでない者向けの 医療を作ることである。カナダ国民は,それを望んでいない。一方,民間医 療の活用を支持して小さい政府を擁護する者が注目しているのは,政府の財 政支出だけであり,国民の(私的に負担する分を含む)負担ではない。 必要な時に質の高い医療に受診できることは,一部の(富める)者の特権で はなく,すべての国民に保障される市民権(right of citizenship)である べきである」 まさに『プライベート医療の「特権」よりもフリーアクセスの市民権を』 です。 日本にもきちんとこの国のありようを問えて、負担に関してもきちんと議論 できるような、指導者が欲しいものです。 ---------------------------------------------------------- 参考サイト 週刊医学界新聞詳細 第2518号 2003年1月13日 「評価と説明責任の時代」の医療改革を http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2003dir/n2518dir/n2518_02.htm   公的医療費を9%追加拡大する改革案 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2)  各党のマニフェスト 医療・介護部門のみ -------------------------------------------------------- ○【自民党】 http://www.jimin.jp/jimin/saishin03/seisaku-012.html (三) 持続可能な社会保障制度の構築 2 国民が安心・信頼してかかれる医療の確保  国民皆保険制度を堅持し、国民誰もがいつでもどこでも安心して良質 な医療を受けることができるよう医療制度の改革を引き続き進めます。  将来にわたり持続可能な医療保険制度としていくために、給付と負担 について、公平が図られ、国民の納得が得られるよう努めます。また、 患者の選択のための情報提供の推進、質の高い医療を効率的に提供する ための医療機関の機能分化・連携の推進と地域医療の確保、医師・歯科 医師臨床研修の推進、看護師等医療関係職種の資質の向上、医療安全対 策、健康増進対策の充実等に努めます。 また、高齢者医療制度のあり 方、適正かつわかりやすい診療報酬体系等についての改革を早急に進め、 医療の質の向上と効率化、社会保障としての国民の医療に対する安心と 信頼を確保します。 3 介護保険制度の着実な実施  介護保険施行後3年が経過し、サービスの利用者が増加する中で、介護 保険制度を着実に実施し、ニーズに対応したよりよい制度としていくため、 在宅介護サービスの充実、介護支援専門員(ケアマネージャー)等の質の 向上、プライバシーを守るため個室化の普及等、質の向上、拡充に努める とともに、要介護状態とならないようにする予防的リハビリテーションを 推進します。痴呆性高齢者について、一人ひとりの個性を尊重し、それま での生活との連続性を保障できるようなケアの在り方を確立します。また 持続可能な制度への改革に努めます。 ------------------------------------------------------- ○ 【民主党】 http://www.dpj.or.jp/manifesto/03_05.html 五 国民の命と健康を守る つよい社会を実現します。  社会全体の安全性が低下し、私たちの身の周りが危険に囲まれています。  生命と健康が尊ばれ、国内外でモラルが行き届く社会を再建して、国民  の命と健康を守ります。 1.健やかさを保つ生活へと改善します。 (1)早期発見・治療で安心の医療を実現します。診療報酬改定プロセス の透明化をすすめます。  受診抑制を解消し、早期発見、早期治療を促進するためにも、平成18年 の診療報酬改定時点で、健保本人の医療費自己負担は2割に引き戻すとと もに、医療制度改革、高齢者医療制度改革を進めます。  また、診療報酬改定時には、薬、医療材料、医科点数、歯科点数、訪問 看護等についてのデータや価格データの公表を行うとともに、パブリック コメントに付すこととします。また、診療報酬改定作業を行う中央社会保 険医療協議会の委員構成を診療側、支払側、公益側(患者側を含む)それ ぞれ同数とし、その議事録を公開します。これらの改革は平成17年度から 順次、すすめます。 (2)350カ所の小児救急センターを整備し、小学生卒業までの医療負担 を1割に軽減します。  小児救急医療体制を整備し、政権取得後3年以内に、全国で350カ所以 上の小児救急センター病院を指定して、いざという時の受け入れ体制を確 立します。  また、小児医療に関する診療報酬の適正化を図る一方、健康保険におけ る小児医療の患者負担を、3歳未満については2割から1割へ、3歳から 小学校卒業年次までは3割から1割負担へと軽減するため、平成17年度ま でに改正案を国会に提出します。必要な国の予算は約450億円と見込まれ ます。国費については冗費の振替で行い、健保については財政状況に配慮 します。 (3)カルテ開示・医療費明細書発行の義務化を実現します。  患者と医師の信頼関係と協力をさらに良好なものとするため、患者に対 するカルテの開示と医療費明細書の発行を義務付ける法律案を、16年度中 に国会に提出します。 -------------------------------------------------------- ○ 【公明党】 http://www.komei.or.jp/policy/manifesto_saishu.htm (3)持続可能で安心できる社会保障制度を構築 2008年度までに、年金は国、医療は都道府県、介護・次世代育成・障害者 福祉は市町村が主体となって運営する制度を構築します。また、制度横断的 に低所得の高齢者世帯の負担を軽減する制度を創設します。 (医 療)  新たな高齢者医療制度を2008年度を目途に実施するとともに、政管健保・  国保の都道府県単位の運営を実現します。  医療・介護にかかる自己負担を家族で合算し、負担が高額な場合に軽減を  図る新たな高額療養費制度を実施します。  妊婦健診(現行2回)を拡充します。 (救命医療の切り札、ドクターヘリを全国配備)  ドクターヘリの拠点地域を4年以内に3倍へ拡大(現在7ヶ所)します。  10年後には各都道府県1ヵ所、50ヵ所地域の整備をめざします。 (介 護)  グループホームや小規模多機能型施設等の整備を計画的に進め、2010年ま  でに特別養護老人ホーム待機者を解消します。  痴呆性高齢者、独居高齢者など悪徳商法等の被害を受けやすい高齢者を保  護し、高齢者の虐待を防止するための法整備を行います。 --------------------------------------------------------- ○ 【共産党】 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-10-09/00_01.html#0300 〈1〉社会保障を予算の主役にすえ、年金・医療・介護など、国民が安心でき る制度を確立する  (一部省略)  いまや社会保障制度は、国民のくらしをささえるという本来の機能を大きく 失い、多くの国民を苦しめ、生活不安をかきたてる大きな要因になっています。 不況のときだからこそ、社会保障に予算を重点的にふりむけ、国民のくらしを 最優先させるべきです。日本共産党は、社会保障を予算の主役にすえ、国民が 安心できる制度を確立します。 (2)3割負担などの医療改悪を元にもどし、国民の命と健康をまもる  昨年10月に老人医療費の負担額が引き上げられたために、在宅酸素療法を 中断する人が続出するなど、命にかかわる深刻な事態が起きています。今年4 月からは、サラリーマンなどの患者負担も3割に引き上げられ、深刻な受診抑 制が起きています。このうえさらに、政府は医療の「抜本改革」と称して「高 齢者医療保険」を創設し、すべてのお年よりから医療保険料を徴収するなどの 計画をすすめています。  当面、02年の医療改悪前の状態にもどすとともに、これ以上の医療大改悪 をやめさせるために、つぎの三つの改革をすすめます。  ― 減らし続けた医療費に占める国庫負担の割合を計画的に元にもどす。  ― 世界一高い薬価や高額医療機器が医療費を押し上げている仕組みにメス    をいれる。  ― 予防・公衆衛生や福祉施策に本腰をいれ、国民の健康づくりを推進する。  国民健康保険の深刻な危機を打開し、住民の命と健康をまもります。国民健 康保険証の取り上げをやめさせ、保険外負担の拡大に反対し、保険で必要かつ 十分な医療が受けられるようにします。 (3)だれもが安心して利用できる介護保険制度に改善する  今年4月から、65歳以上の介護保険料が全国平均で13%引き上げられ、 低所得者は必要なサービスもますます切り縮めざるをえなくなっています。政 府は、介護保険制度の見直しに向けて、(1)保険料の徴収対象を現行の「40 歳以上」から「20歳以上」に広げる、(2)障害者施策を介護保険と統合して、 障害者からも保険料を徴収する―などを検討しています。このような国民負担 増に反対するとともに、だれもが安心して利用できる制度をつくります。  ― 保険料、利用料の免除・軽減制度を国の制度として確立します。  ― 介護給付費への国庫負担を現在の4分の1から2分の1に引き上げます。  ― 特養ホームを計画的に増設し、待機者の解消をはかります。  ― 短期入所(ショートステイ)の緊急用ベッドの確保など、高齢者が地域    で安心してくらせる条件を整備します。 (4)福祉を拡充し、だれもが安心して過ごせる地域社会をつくる  乳幼児医療費無料化を国の制度として実現させ、各自治体の独自施策を上乗 せできるようにします。住民・行政・医療関係者の連携で小児医療供給体制を 整備します。  長引く不況のなかで生活保護の役割がますます重要になっています。「老齢 加算」「母子加算」の廃止など、政府の05年に向けた保護費減額の計画に反 対します。児童扶養手当の削減計画を中止します。難病患者の医療費自己負担 制度をやめ、無料化を復活します。  障害者が全国どこでも必要なサービスを受けられるように、サービス基盤整 備を集中的にすすめるなど、支援費制度の改善・拡充をすすめます。障害者プ ランの拡充、雇用の確保、「障害者差別禁止法(仮称)」の制定などを推進し、 障害者の「全面参加と平等」を実現します。 (5)社会保障のための財源(その1)   ―「逆立ち」財政をあらためる歳出改革 小泉内閣や自民党・公明党、財界などは、社会保障の負担増や給付減は「少子 高齢化だから仕方がない」といいます。しかし、国民が払った税金がどう使わ れているかを見れば、これが間違っていることははっきりします。日本は、国 民が国と自治体に払った税金のうち社会保障の公費負担としてもどってくる比 率は29%で、アメリカ47%、ドイツ44%、イギリス43%、スウェーデ ン43%などからみればたいへん低い水準です。  税金の使い方、予算の優先順位を転換すれば、社会保障を充実させる財源を 確保する展望が大きく開けます。  ― 第1に、90年代に50兆円にまで膨張した公共事業を段階的に半減さ せます。バブル期前の水準の25兆円にまで段階的に引き下げれば、財投資金 などを除いても、新たに10兆円程度の財源をつくりだすことができます。そ れでもアメリカを上回る水準の公共事業を確保でき、巨大開発中心から、雇用 や地域経済への波及効果が大きい福祉・環境型に転換すれば、国民に必要な社 会資本整備は十分可能です。  ― 第2は、5兆円にまで膨張した軍事費を「聖域」にせず大幅軍縮に転換 させます。とくにヘリコプター空母や空中給油機など海外派兵用の新規装備購 入計画を中止すること、1兆円単位での巨額の財政支出をともなう「ミサイル 防衛戦略」への参加を中止すること、世界で類のない巨額の米軍への「思いや り予算」を廃止することは、急務です。  この二つの改革で、10兆円以上の財源を、社会保障を中心にした国民の くらしのために、新しく振り向けることができます。 ------------------------------------------------------------- ○ 【社民党】 http://www5.sdp.or.jp/central/topics/03sousenkyo/s1.html 3.安心の医療を提供 [1]健康保険の医療負担2割へ引き戻し  野党でとりまとめた「健保法の改正案」を成立させ、サラリーマンの医療負担  を3割から2割負担へ引き戻します。 [2]小児救急医療の充実を  全国で4分の1しか実施されていない緊急入院体制を早急に整備します。地域  基幹病院の充実により、地域に二次医療の受け皿を配置します。 [3]出産育児一時金の拡充や国庫負担金の引き上げにより、出産費用を公的に  保障します。(出産1子に対し、現行の医療保険による一時金30万円。プラ  ス一般財源から30万円) [4]低所得者対策と高額医療費の償還払い制度の見直し  高齢者医療の自己負担限度額を見直し、特に低所得者がいつでも安心して医療  が受けられるよう配慮します。また、患者が自分で領収書を保管し、申請しに  行かなければならない償還払い制度は、非常に分かりにくく、高齢者にとって  は大変に不便な制度であるため、早急に見直します。未申請のために、本来支  払われるべき分で支払われていない分の治療費についても救済措置を講じます。 [5]「患者の権利基本法」を制定  患者本位の医療を確立するため、「患者の権利基本法」(仮称)を制定します。  患者や家族が、イ.医療行為に関し医療従事者から十分な説明と報告を受ける  権利であるインフォームド・コンセント ロ.カルテなど医療情報の閲覧や謄  写請求、医療費明細書などの交付請求権 ハ.医療行為について選択し、同意  し、拒否することができる自己決定権、といった患者の権利を基本法に明記す  るとともに、患者の権利擁護について、国や自治体、医療機関や医療従事者の  責務を明らかにします。 [6]医療事故の被害者救済制度と防止システムの緊急整備  被害の相談から、裁判によらない救済のシステムまで、総合的な医療事故の被  害者救済制度を実現します。「医療基準監督局」(仮称)を設置し、医師の事  故報告の義務化や安全指導を行います。また、カルテ開示の法制化を早急に進  め、患者や家族の医療記録を知る権利を保障します。 [7]保険者機能を強化、苦情処理制度を整備  患者の諸権利を実現し擁護に資するため、保険者機能を抜本的に強化し、患者  や被保険者代表を加え、広域的な再編と独立性確保で患者・被保険者の代理人  機能を確立します。また、保健所や医療機関などに相談窓口を設置するととも  に、都道府県単位にオンブスパーソンを配置するなど、医療機関に対する評価  機能、調査権、勧告改善権などを付与した第三者機関としての苦情処理制度を  整備します。 [8]医療機関の情報公開と評価システムを確立  患者が十分な情報に基づいて医療機関の選択ができるよう、医療機関における  治療や成果についての情報公開や実績に応じた質の評価システムの確立を進め  ます。続発する医療ミスや事故を防止する安全対策やチェック体制を徹底する  とともに、医療品被害を未然に防止するため、審査・承認制度の透明化や医薬  分業の推進、情報提供システムの構築、コメディカル・スタッフの十分な配置  と過密労働の解消などを進めます。また、患者と医療従事者双方の意識改革を  進めるための権利教育を確立します。 [9]薬価基準制度と診療報酬制度の見直し  高齢化などに伴う医療費の当然増は不可避です。しかし、「薬漬け・検査漬  け」や「乱診乱療」といったムダで危険な医療を是正し、医療の質を重視した  効率化を進め、青天井といわれる医療費に徹底的にメスを入れます。  ムダな薬剤や高価な薬剤が使用されがちな現在の薬価基準制度を見直し、公  設の医薬品市場で公開競争入札による価格形成システムを導入します。また、  過剰な診療を招く誘因となっている出来高払い中心の診療報酬制度を見直し、  慢性疾患などに対しても定額払いを導入して、不必要な入院期間の短縮や社  会的入院を解消するとともに、「もの」より「技術」を重視します。 [10]高度先端医療の拡充で難病の治療法確立へ  高度先端医療を拡充し、ゲノム技術等を用いた画期的な治療技術や医薬品、  医療機器の研究開発・普及への圧倒的に少ない予算を増額し、基盤を整備し  ます。また、難病に苦しむ方々への対策を充実し、治療法の確立を図るため  調査研究費を増やすとともに、療養環境を向上させ、特定患者の対象を拡大  して患者の負担軽減を図ります。 ---------------------------------------------------------- ○ 【保守新党】 http://www.hoshushintoh.com/seisaku/to_seisaku.html (2)老後の生活不安をなくし、活力ある高齢社会をつくります 1. 社会保障目的税の導入で将来とも安心できる年金制度の構築  将来とも安心できる年金制度を構築するためには、給付と負担の在り方を見 直し、現行水準に近い社会保険料に加えて、世代間を通じ支出に応じ公平に負 担し、安定した財源でもある消費税を投入する以外に道はありません。 この観点から、消費税の使途を基礎年金・高齢者医療・介護に限定する社会保 障目的税の実現を目指します。年金積立金の活用については、後世代、次世代 の保険料の負担軽減に充当することとします。 2. 新しい高齢者医療制度の創設  負担と給付両面における世代間、保険者間、地域間の公平の確保、診療報 酬体系の見直し、薬価差益の解消、介護と高齢者医療との連携強化など、抜本 的医療制度の改革を進めます。すべての高齢者を対象とした独立の高齢者医療 制度を創設し、その主たる財源は消費税で賄います。 3. 医療事故の防止  医薬品、医療機器等に対する安全性確保体制に万全を期すとともに、薬の 副作用についての情報開示を徹底し、薬害を防止します。医療機関の安全管 理体制の整備を更に推進するとともに、第三者機関を設置して事故の情報を 収集・分析し、幅広く提供するなど医療事故の防止体制を強化します。 4. 住民のニーズに応えるきめ細かな介護サービスの提供 「介護を住民皆で支えあう」との考えに立ち、介護保険制度の定着を図りま す。また、痴呆性高齢者介護の充実、施設における身体拘束廃止の徹底、ケ アマネージャーの質の向上、利用者の意見等を反映した要介護認定の見直し、 などを進めます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ●4月からHPとメールのアドレスが変更になっています。 【新しいWEB】 http://www.docbj.com/kkr/   ご意見・ご感想等ございましたら、以下のメールアドレスへ 【新しいMAIL】   kotui@docbj.com   --------------------------------------------------------- 購読のお申し込みと削除は、上記のホームページから直接出来ます。また過 去に発行したメールマガジンはこのホームページで参照可能です。 ----------------------------------------------------------  最近、読者の皆様から編集部宛にいろんなメールをいただいております。皆 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