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 かかりつけ医通信     第19号   2002年1月18日発行
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    健康・医療のお役立ち情報・・・医療の現場から

▼目次▼
1)飲酒について お酒の豆知識-1-
2)老人医療費について -2-
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1)飲酒について お酒の豆知識
●はじめに
●飲んだお酒は体の中でどうなるの?
●お酒の1単位とは
●どうしてお酒に強い人と弱い人がいるのか?
●女性はお酒に弱いのか?
●訓練すればアルコールに強くなるか
●急増する若者の飲酒の対策
●「イッキ飲み」はどうして危険なの?
●γ(ガンマ)−GTP検査について
●嫌酒薬 ノックビン(アンタビュース)
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2)老人医療について -2-
 老人医療費は本当に高いのか
●はじめに
●国民一人当たり医療費
●本当に老人医療費は高いのでしょうか。
 ●1件あたりの医療費
 ●1日当たりの医療費
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1)飲酒について お酒の豆知識

●はじめに
 昔から「酒は百薬の長」といわれ、適度の飲酒は、疲労感を和らげ精神や健康に
もプラスとなるばかりか、社会生活を営む上でも大きな効用があります。また適量
のお酒を適正に飲んでいる人は、お酒を全く飲まない人や大量に飲む人に比べて、
心臓病の死亡率が低いという医学的な裏づけデータもあります。
 一方 量を誤ると、心にも体にも、深刻な影響を与えることになります。二日酔
いや、酒席での失敗ばかりでなく、時には、生命にかかわったり、家庭生活、社会
生活を破壊してしまうことさえあります。
 また、近年青少年の飲酒や一気飲みの急性アルコール中毒による死亡、飲酒の強
要、など、明らかに誤った飲酒習慣もなかなか後を絶ちません。
 そこで今回は、飲酒について色んなホームページの資料を参考にして飲酒につい
て解説してみます。
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●飲んだお酒は体の中でどうなるの?

 口から入ったアルコールは胃の中で約20%、そして小腸から残りの約80%が吸
収されます。そして血液に溶けこんで数分のうちに全身にくまなくゆきわたります。
体内に入ったアルコールの大部分は肝臓で代謝されます。肝臓ではアルコールはま
ずアルコール脱水素酵素(ADH)によって、アセトアルデヒドに分解されます。
そしてアセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によってアセテート
(酢酸)に分解され、アセテートは血液によって全身をめぐり、筋肉や脂肪組織など
で水と二酸化炭素に分解されて体外に排出されます。体に入ったアルコールのごく
一部は、体内で処理されないまま、尿や汗、呼気となって、体の外に出ていきます。
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●お酒の1単位とは アルコールの代謝スピード

 肝臓は、いわばアルコールの処理工場です。その代謝スピードには個人差はあるも
のの、平均すると体重60〜70キロの人で1時間におよそ7グラム程度といわれていま
す。ところで、アルコールの含有量は、ビール大びん1本、ウイスキーのダブル、日
本酒の1合がほぼ同じで約23グラム。これを「1単位」といいます。
「1単位」のアルコールが代謝され、からだから消失するまでにかかる時間は、
23÷7≒3ですから、約3時間ということになります。3単位以上飲酒すれば計算上は
9時間以上かかるので翌日まで残ることになります。
 また糖尿病の食事療法に使われているカロリー計算では日本酒1合は2単位になり
ますので、お酒の1単位は糖尿病の食事療法では2単位と言うことになります。
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●どうしてお酒に強い人と弱い人がいるのか?

 生まれつき酒に弱く、わずかのお酒を飲んでも顔が赤くなったり、吐き気を訴える
人がいます。お酒に強いか弱いかは、実は体質によって決まっています。アルコール
が体内に入ると、まずアセトアルデヒドに分解されますが、この物質は極めて毒性が
強く、顔面の紅潮、頭痛、吐き気、頻脈などの不快な症状を引き起こし悪酔い・二日
酔いの原因物質といわれています。
 このアセトアルデヒドを分解するのが、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)です。
1型と2型がありますが、血中の濃度が低い時には、まず2型(ALDH2)が活躍します。
ところが、日本人の場合、約40%がALDH2の働きが弱い「低活性型」でお酒に弱く、
4%が全くない「不活性型」で、全くお酒を飲めない人だと言われています。
 このタイプの人たちは、ごく少量のお酒でも、気分が悪くなってしまいますから、
無理に飲むことはもちろん、このタイプの人たちにお酒を無理強いすることは、絶対に
慎んでください。

 ALDH2の不活性な人は、実はモンゴロイド系にしか存在しないようです。この不活
性型は、日本人44%、中国人41%、韓国人28%と言われ、ヨーロッパやアフリカ人
ではこの不活性型はみられません。

あなたのALDH2は、活性型?
アルコール代謝の体質が簡単にわかるパッチテストのやり方
http://www.suntory.co.jp/arp/patchtest.html
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●女性はお酒に弱いのか?

 女性は男性に比べアルコール代謝能力が劣るとされ、同じ体重当たりのアルコール
量を飲んだときの血中濃度は、女性の方が高く、酔いがさめるのが遅くなります。
また、女性ホルモンにはアルコールの分解を抑える作用があるため、生理前7日前後、
あるいは排卵前にお酒を飲むと、いつもより早く酔いが回り、悪酔いしやすくなりま
す。したがって、女性は男性よりお酒に弱く、酔いやすいのが一般的なのですが、最
近ではお酒に強い女性も増えています。
 ただ女性がお酒を過度に飲み続けた場合、短期間(男性の半分)でアルコールの害
を受け、アルコール依存症になってしまいます。アルコール依存症になる女性は最近
増加しています。また女性の場合、妊娠中にお酒を飲むと「胎児性アルコール症候群」
という発達障害や知能障害というような障害を持った子供が生まれる危険があります。
それを防ぐためには妊娠と分かったら絶対にお酒を飲まないこと、これ以外に方法は
ありません。安全な飲み方、飲酒量というのは分かっていませんので、妊娠と分かっ
たら、お酒は絶対に飲まないことです。
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●訓練すればアルコールに強くなるか 「アルハラ」とは

 訓練によってアルコールに対する耐性が上がり、酒量が増える人も中にはいます。
しかしながら、日本人の約1割と言われる「下戸」の人は、まったくアルコールを
受けつけず、このタイプの人は、前述したようにいくら「訓練」してもアルコール
に強くなるということは絶対にありません。それどころか少量のアルコールでも命
取りになります。 次に、日本人の約3割の人は、アルコールで悪酔いする体質です。
顔が赤くなりながらも飲んでいるうちに、酒量が増えていく人もいますが、この体
質の人はアルコールの害を受けやすく、肝臓病やがんになりやすい、というリスク
をかかえています。
 「訓練」は体に害こそあれ良い点はありません。これらの2グループの人が「訓
練」という名を借りた飲酒の強要に遭うことが多いようです。
 つまり、飲み会参加者が10人いれば4人が飲めないという計算なのです。こう
いう体質は遺伝的に決まっていて、酒量を増やすための「訓練」は効果がないどこ
ろか、内臓疾患やアルコール依存症のリスクを高めます。また、日本人の5〜6割
を占める「飲んでも顔に出ず悪酔いしない体質の人」にとっても、「訓練」して耐
性を上げ酒量を増やすような行為は、内臓疾患やアルコール依存症のリスクを高め
るだけで、おすすめできることではありません。
 つまり「訓練」はどんな人にとっても健康的な行為ではないのであって、「訓練」
を他の人にすすめることは「アルハラ」です。絶対に止めてください。

「セクハラ」と同じように「アルハラ」という言葉があります。「アルコール・
ハラスメント」の略で酒にまつわるいやがらせ・飲酒の強要・人権侵害を指してい
ます。
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●急増する若者の飲酒の対策

 未成年者の飲酒は法律(未成年者飲酒禁止法)で禁じられています。にもかかわらず、
ちまたには自動販売機があふれています。誰もが自由にお酒を買うことが出来る不
思議な国です。
 特に未成年の飲酒は見過ごすことができない状況だと思います。昨年10月に出版
された「アルコール白書」によれば、イッキ飲みなどで急性アルコール中毒を起こし
て救急車で運ばれた人は、前年に比べて9.2%増加し、年齢別では未成年者が2割弱、
20歳代を含めると過半数は若者で、そのうち女性が3分の1を占めていると言われて
います。
 全国9都道府県1万4千人の高校生の飲酒調査では、飲酒している高校生は実に80%
で、週1回以上飲酒して、酔っ払っうまで飲むような問題飲酒者は、男子で25%、
女子で11%に上っています。未成年者飲酒禁止法は全く法律として機能していません。
 多くの場合、親に勧められたのが、きっかけになっています。親自身に、未成年者
飲酒の危険性に関する正しい知識があれば、これほどの広がりは防げたのではないで
しょうか。お子さんには、ただやみくもに「駄目だ」と禁じるのではなく、危険性を
具体的にあげて、納得させてください。今、酒の自動販売機廃止を含めた未成年のア
ルコール対策をとらねば間に合わない事になります。
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●「イッキ飲み」はどうして危険なのか

 「イッキ飲み」のように短時間に大量の飲酒をすると、血中アルコール濃度が急
激に上昇し、「ほろ酔い期」も「酩酊期」も飛び越して、一気に「泥酔」「昏睡」
の状態にまで進んでしまい、場合によっては呼吸困難など危険な状態を引き起こし
ます。これが急性アルコール中毒です。
 急性アルコール中毒で病院に運ばれる人は非常に多く、東京消防庁のまとめでは、
平成12年中、急性アルコール中毒で搬送された人数は12,787人にのぼりました。
そのうち87人は生命に危険な状態でした。その半数以上が20代の若者と未成年者で
占められています。若者はアルコールを分解する仕組みが未熟であるにもかかわらず、
周囲の雰囲気に左右されたりして「イッキ飲み」など無茶な飲酒をすることも一因で
す。
 血中アルコール濃度が0.4%以上になると、その半数が飲酒後1〜2時間で死亡
してしまうと言われます。最近10年間で70人以上の若者が急性アルコール中毒
などで亡くなっています。
 このように「イッキ飲み」やお酒に弱い体質の人へお酒を強要することは、急性
アルコール中毒から死へもつながる可能性がある非常に危険な行為ですし、飲ませ
た方や見逃した責任を問われることがあります。何かが起こってからでは遅いのです。

急性アルコール中毒などによる死者
http://www.ask.or.jp/victims.html
 東京消防庁 とイッキ飲み防止連絡協議会
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●γ(ガンマ)−GTP検査について
 飲酒量の多い人が、健康診断の際に特に注意しておきたいのが、γ−GTPの数値で
す。γ−GTPは、肝臓のなかにある酵素の一種で、この数値が高いことは、肝臓に
異常があることを示しています。γ−GTPの値と飲酒量との間には、かなり密接な
関係があることが分かっていますから、この数値が高くなったら、お酒をひかえる
ことをお勧めします。
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●嫌酒薬 ノックビン(アンタビュース)
 この薬は嫌酒薬として処方されることがあります。アセトアルデヒドの酸化を邪魔
し、アルコールと併用するといろいろな反応を引き起こします。最も強力なのが嫌酒
薬として有名な「アンタビュース」です。この薬をお酒と一緒に飲むと、数分で顔が
赤くなり、ずきずきと頭が痛み、血圧が下がり、動悸、頻脈、吐き気、嘔吐などの症
状が数時間続きます。 そのため禁酒の効果がでるものですが、本人に禁酒の意志が
無ければ効果はありません。禁酒の専門外来で処方されますが一般の診療所ではほと
んど処方されないと思います。
 「あんた・ぶす」と覚えるように習いましたが、これは女性の前で使うとアルハラ
でなくセクハラになりますね。

 酒は「百薬の長」となるのか「万病のもと」になるのか、それはあなた自身がどの
ように酒と付き合うかによって決まることです。
 適量のアルコールが心臓病の死亡率や糖尿病の発症に効果があることも確認されて
いますが、またの機会にご紹介します。
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アルコール問題全国市民協会
http://www.ask.or.jp/
イッキ飲み・アルハラ防止運動
http://www.ask.or.jp/ikkialhara.html
酒は何よりも、適量です。その正しいつき合い方を考えよう
http://www.suntory.co.jp/arp/
アルコール健康医学協会
http://www.arukenkyo.or.jp/
増える子どもの飲酒と酒類自動販売
http://www.health-net.or.jp/kenkonet/html/category/09/data/k147.html
飲酒にかかわる法律 (平成13年3月現在)
http://www.suntory.co.jp/arp/law.html

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2)老人医療費について -2-
 老人医療費は本当に高いのか

●はじめに
 医療制度改革は待ったなしの状態となっています。この中で特にやり玉に挙がっ
ているのが高齢者医療費の問題です。
「日本の老人の1人当たり医療費は一般の人の5倍-6倍に達している。その主因は、
老人への過剰な投薬や検査と、高齢者の終末期医療に費用がかかり過ぎて、医療保
険財政を圧迫している」とも言われています。

果たしてこの数字は正しいのでしょうか。
 日常診療をしている私たちは、一般も老人も診療自体にそんな差を付けていると
は思えませんし、老人に5倍も濃厚な治療や検査を行っているとは到底思えません。
高齢者の終末期にはむしろあまり濃厚な医療を行っていないのが現実です。
 すでに一部の関係者はこの数字は厚労省による作為的な数字だと分かっているので
すが、医療評論家やマスコミの一部には未だにこの数字を信じているのか、または利
用して老人医療費は高いという主張や報道の「情報操作」、「世論操作」を行ってい
ますので、再確認しておきたいと思います。
 「老人の国民一人当たりの医療費は一般の5-6倍」について最近のデータで検証
してみました。また老人終末期医療が果たして医療費を大きく左右しているのかどう
かの問題点を探ってみました。
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●国民一人当たり医療費

 最近発表された厚労省大臣官房統計情報部の「平成11年度国民医療費の概況」
でも「国民一人当たりの医療費をみると、65 歳未満は 14 万6500 円、65 歳以上
は73 万 700 円である。」と公表しています。これで計算しますと65歳以上の国
民一人当たりの医療費は65歳未満の人たちに比べて5.03倍も高いと言えます。
老人とは普通70歳以上ですので、この資料の中から70 歳以上の国民一人当たりの
医療費を調べますと85.0万円となりました。この額で比較すれば老人の一人あたり
の医療費は一般の6.17倍と言うこともできます。
 と言うことは平成11年度の国民一人当たりの老人医療費は、一般の人5-6倍で
あるという数字は正しいことになります。

 ところがこの「国民一人当たりの医療費」とは、その年齢層の総医療費をその人
口でわり算したものであることは詳しく説明してありません。老人分は老人医療費
の総額を老人の人口で割り算して、「一人当り医療費」とした数字なのです。
 ここに数字と言葉のトリックがあるのです。
 一人の病人がその月に使った医療費という意味ではありません。元々元気な若者
の有病率や受診率と高齢者の有病率や受診率は無視した医療費の比較なのです。
この方法なら元気な人の多い年齢層では一人あたり医療費は低いに決まっています
し、逆に多くの人が受診する年齢層では高いに決まっています。
 このように「国民一人当たりの医療費」と名付ければ、ふつうは「患者一人あたり
医療費」と考えてしまいますが、厚労省の発表はそうではないのです。
 老人医療費は高いと納得させるために作為的に作られた数字だとも言えます。
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●本当に老人医療費は高いのでしょうか。

 そこで、毎月の診療報酬や統計から1件あたりの月々の医療費や1日あたりの
医療費 を比較して再検証してみたいと思います。

最新の厚労省の平成12年度統計資料では
一般医療と老人医療別にみた診療行為の状況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/sinryo/tyosa00/kekka-1b.html

●1件あたりの医療費は
 入院1件当たり医療費は、一般医療302,088円、老人医療377,998円
 外来1件当たり医療費は、一般医療11,649円、老人医療17,861円と公表され
これでみると入院の医療費は1.25倍、外来は1.53倍老人の方が高くはなっていま
すが、一月の1件あたり老人医療費は高いのですがその差はわずかです。

●1日当たりの医療費は
 入院 1日当たり医療費は、一般医療20.944円、老人医療19,485円
 外来 1日当たり医療費は、一般医療6,025円、老人医療6,594円
 と報告され、入院の1日当たりの医療費は老人の方が少し安くなっています。

この様に、1件当たり・1日あたりの医療費は一般・老人で大きな差はなく、一人の
患者さんににかかる医療費は一般も老人も差がないことが確認できます。
 老人医療費 は一般の医療費の5-6倍もかかっているという報道は、医療費増加の
危機を煽る作為的な数字であることが理解できたと思います。
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●受診率について
 受診率について検証すると老人の多科受診傾向は、はっきり示されました。
 入院では人口100人当たり、その月に一般では1.7人、老人では6.7人。
 外来では人口100人当たり、一般46.5人、老人130.7人。
となっています。
 この数字は入院では、一般では1.7%が、老人では6.7%がその月に入院したこと
であり、外来では一般の人の47%、およそ半分がその月に外来受診したことになり
ますし、老人の外来受診率は100%を超しており、この事は一人で複数の診療科を
受診していることが意味します。
 高齢に伴い色々な臓器疾患の合併症があり、多くの診療科を受診することはやむ
を得ないことではありますし、また老人に限らずセカンドオピニオンと言われるよ
うに、多くの医師に相談することでも受診率は増えます。
 ただ老人が毎日のように診療所を受診しサロンのように使っているとのマスコミ
の報道は1件あたり医療費、1日当たり医療費に一般と大きな差がないことで否定的
です。
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 一方医療保険制度を補完し、老人医療費を削減するために導入された介護保険
制度は、老人の医療・介護の選択肢を拡げる事の利点は強調されていますが、「も
うそんなに長く生きられない老人を、行政主導の指導介入により自宅と各種の施設
をたらいまわしにするだけの施策のような気がしてならない」との指摘もあります。
 現在の老人の入院システムがそうです。
 一般病院に3ヶ月以上止まれず、また長期の社会的入院の受け皿としての入所施設
と考えられた療養型病床群にも6ヶ月以上入所もできなくすれば、介護保険制度で
救えない内臓疾患の患者さんはどこへいけというのでしょうか。
 安住の居場所を望む老人の希望とは裏腹に、机上で立案された病院から病院へ、
そして名前だけいろんな施設をキャッチボールするように転々と移動させられ、
その度に主治医を初め医療、介護スタッフが変わり、また移動する度に多くの検査
を受けるはめになります。一施設の平均在院日数は減るでしょうが、一人の医療費
として果たして減るのでしょうか。
 こんな老人の入院システムは、医者・医療関係者と患者・家族の人間関係は築く
暇もない制度になって行きます。
 今の老人医療制度は、この国の老人にとっては不幸だけをもたらし、医療や介護
に関わる経費だけを増大させる悲しい結末が見えます。
 次号では老人の終末期医療について説明します。
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