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 かかりつけ医通信      第15号   2001年12月18日発行
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    健康・医療のお役立ち情報・・・医療の現場から

○今回は、読者のみなさまから頂いた御意見・御感想の特集号です。

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 今回の、各国の医療保険事情、大変興味深く読ませていただきました。
「日本の医療は質が高くて費用が安い」というテーマに対して反論はいろい
ろあるようですが(少なくとも医師の質によって大いに違いが出てくること
でしょう)、少なくとも保険証さえあればどこの病院でも、どの医師にも、
同じ費用で受診できるというのは、日本の医療の世界に誇れるところだと思
っています。
 悪化すれば公費負担の対象になるような特定疾患を持っていることから医
療に対して関心を持ち、医療事務などという世界に少し足を踏み入れたこと
があるので多少知識があります。
 現在は、支払基金、国保連合会と一元化されている保険審査機関が、小泉
改革では保険者が自由に選べるようになるということで、最悪、削り屋と呼
ばれるような業者が、審査を担当するようになるのではないかという恐れが
あるようですね。また、ERというようなアメリカのTVドラマを見ている
と、入っている保険によって受けられない検査があるということで、これは
非常に恐いことだと思います。
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(コメント)
「ER」を始め、アメリカのテレビ、映画、小説には、保険の種類によって、
検査だけでなく、薬や手術などの治療まで、制限される話が良く出てきます
ね。

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私は、協力隊に参加して、いわゆる「途上国」と呼ばれる国で
医療隊員として活動しています。
今回の通信では、いわゆる「先進国」についての情報が
紹介されていましたが、途上国では、更に「高くて質の悪い医療」
と言っていいと思います。
なにより、途上国では、人の命はとても軽く扱われているように
感じます。
医療は、受けるためには必ずお金が必要になります。
しかし、途上国の人々は収入がとても低く、一方、医療費は
収入に比べるととても高くなってしまいます。
瀕死の状態で運ばれた急患を目の前にして、「家族が到着して、
医療費が払えるかどうかを確認しないと、処置ができない」という
ことも、日常的な、常識とも言える状態なのです。
私も日本にいた時には、日本の医療費を「安い」とは思っていません
でしたし、質も(個人差も大きいですが)それほど高いとは思って
いませんでした。
でも、一般的に、医療費は収入に比べると、やはりとても安いと
思います。
質を考えても、医療機器の精密度や充足度、医療機関の多さなどの
ハード面だけでなく、医療知識の高さや医療倫理の高さ(これには
反対意見も多いかという気もしますが、実際に途上国で働いてみて、
日本のレベルは高いと実感しています)と言うソフト面も、やはり、
日本はレベルが高いと思います。

政府が「アメリカの医療制度導入を図」ろうとしているのには、やはり、
国民の為と言うより、財政赤字を何とかしようとしている、と見たほうが
よいように思います。
それは「改革」と呼べるものではないように思えてしかたありません。
もっと先に、他にすべきこと、見なおすべきところがたくさんあるのでは
ないかと思います。
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(コメント)
 海外の医療を実際に経験された方は、日本の医療を高く評価されることが
多いようです。

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こんにちは。いつも為になるメルマガをありがとうございます。
先日号に「専門医に継続的にかかったほうがよい」という話が出ていたので、
これに関連して医療を受ける立場からリクエストがあります。

はじめから何の病気なのかわかっている場合ならその病気の専門の先生を探
すことができますが、素人には判断がつかないこともよくあります。
どこかが痛いけれどもその原因が痛いところとは別の箇所にあるかもしれな
いという場合や、めまいがするが体のどこが悪いのかわからないような場合
などです。
実際、お医者さんに側でもたまたま専門外だったりすると原因が判断できな
い場合もありますよね。
(中略)
こういう場合、つまり体調に異常はあるが何が原因かわからない場合における
お医者さんのかかり方について、何かアドバイスがありましたら、
それをメルマガで取りあげていただけると本当に助かります。

また、医療の高度化、専門家が進む昨今、
「そういう症状なら何科(さらにはどういう専門の先生)にかかりなさい」
というアドバイスをしてくれる医療アドバイザーのような人が
いればいいのにと思います。(すでに存在するんでしょうか?)
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(コメント)
 各地域の「かかりつけ医」を、まさに、そのような医療アドバイザーとし
ても活用していただければ良いと思います。

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> 1)名医リストは意味があるのでしょうか
> 正直なところあまり役に立ちません。
は、全く同感です。良いかどうかは、個々の事例(とは言わないのでしょうか?
分野ごとに微妙に日本語が違うようですから)によって異なること、結局は人と
人の関係なので、当然相性の問題は個別的だからです。下の方に同じ内容(多分)
がありますが。

>  患者さんのニーズの多様化は時代の流れです。それに答えるためにも、各病
> 院の情報公開は、もっとすべきと思います。
そうですね。専門が極めて細分化されている時代ですから、得意分野をアピール
されたらいいのでは? もちろん、アメニティも含めて(笑)いいわけです。

> ●医療における情報公開の問題点。説明と同意の問題
> ●その評価の社会的影響は(過度の特定病院集中)
> ●患者さんとしては、どの様にして病院を選べばよいのでしょうか?
この中に記されていることは、学校選びとも全く同じです。もっとも私学の場合
は入学試験で門前払いができる点が異なるでしょう。公立校が学区域を廃止する
傾向がありますが(東京だけ?)、どうなるのか興味深く見ています。

> 患者さんが、医療の専門家としての「かかりつけ医」の活用を図るのは、賢い
> 選択であると思います。
私自身は「かかりつけ医」に大変恵まれてきました。が、これからの時代はどう
なるのでしょうか? 心配なのは大病院に勤めることが、つまり専門性を高める
(言葉をかえると狭くする)ことがいいことがという風潮があるのではないかと
思われることです。地域医療に従事するというのは、いわば「何でも屋」になる
ことで、価値が低いと今の若い人たちが思うのではないかという心配です。
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(コメント)
 医療制度としても、国民の意識としても、地域医療の重要性を、もっ
と高く評価するようになって欲しいと思います。それが、医療の質の向
上、ひいては、国民の幸福につながるのではないでしょうか。

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医療の効率化の話ですが、
医師の教育はもちろん大切ですが、それ以前に不必要な
薬や点滴や注射や薬を要求する困った患者さんの教育が
必要でしょうね。
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(コメント)
 医療制度は、医師を含む医療関係者だけの問題ではなく、一人一人の
幸せな生活を支えるために重要なテーマであるという認識を、国民の皆
さんに持っていただく必要がありますね。

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何時も真剣な取り組みに大変好感を持ちまた、参考になります。
私も、今年から身体障害者手帳の申請をしたところ、第1級1種に認めら
れ、介護保険の申請もあわせてしたところ{要介護2}に認定され、住宅
改修を行いました。改修を行ったのは、トイレの手摺とドアをアコーディ
オンカーテンに替え、トイレの中で転倒したときなど今までは入ることも
出来なかったため、思春期の子ども達には、ちょっとかわいそうかと思い
ましたが、快く私の身体を気遣って了解をしてくれました。また、風呂場
の手摺、脱衣所との段差の解消を目的に床の張替えをしました。その他、
転倒防止に4点杖のリースや風呂用折りたたみ椅子の購入等ケアマネージ
ャーを中心に大工さんやかいご商品店など綿密に私にあった介護用品の斡
旋や介護商品の提供を使ってみてよかったら買うあるいは、リースする。
ことで了解してくれる介護商品店さんに感謝の気持ちでいっぱいです。介
護保険制度は、まず主治医が患者の様子や状態を熟知し、意見書を書いて
もらえるかにかかっています。先ず、ここで躓いてしまうと患者が必要と
する介護が受けられなくなってしまうことになります。また、ケアマネー
ジャーの力量や人間性に格差があり、自由に選択できるとはいえ何処のど
のケアマネージャーが良いかは、行政が情報をオープンにし、選択肢を増
やしていけるようにすることです。幸いにして、私の場合は良い人達に恵
まれ、感謝しています。私の場合、私自身が地方公務員ということもあり、
同僚が色々と情報を教えてくれたお陰もありますが、先ず主治医との人間
関係・信頼関係作りが非常に重要です。都市部にあっては医者も選ばれる
時代になり、患者自身しっかりと分からないことは医者に言い、信頼関係
をお互いに築きあげるところにその出発点があるように思っています。
 今後も、頼りになる通信を期待しています
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(コメント)
 医師の側も、患者さんとの信頼関係作りに、ますます努力が必要になる
と思います。

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かかりつけ医通信 第10号 ありがとうございました。

さて、
> 1)変形性関節症に、効果ありとされる「健康食品」について
ですが、一般論として2つの問題が含まれているのではないでし
ょうか。
第1は、情報の信頼性。
 ITは大いに結構で、誰でも気軽に発信できるのは好ましいこ
とです。が、あやしい情報も多くなり、何が信頼できる情報なの
かを見極めるのは非常に困難。もちろん、テレビでやってたから
間違いない、などというのはとくに危険な発想ですね。「藁をも
つかむ思い」になっているときは、なおさらです。

第2は、何でも薬に頼るのかという疑問。
 「健康補助食品」のタブレットがコンビニに並ぶようになりま
した。本来、食品から摂取するべきものが取れないなら、食生活
を変えるべきでは? もっとも、食べたいものを食べていればそ
れでうまくいく、というだけの「感受性」を失ってしまった困っ
た動物なのでしょうね、ヒトは。さらに、1日の目安として量が
表示されていますが、その通りのむ(ではなくて食べる)とは限
らないのでは? 水溶性ビタミンはまだしも脂溶性のものなどは
過剰症が心配ですね。
 
> 2)医療制度改革特集号その3
ひと区切りの様ですので、まとめての感想です。

主題は医療制度ですが、ここに記されていることは医療制度だけ
ではなく、人と人の関わる分野に共通の課題だと思います。「お
金」は便利なものですし、便利な尺度ですが、その量を増やすこ
と(費用削減も含む)だけに目が奪われてしまうと、落とし穴に
はまってそれこそ「元も子もなくす」結果になるわけです。人が
人を支えるというところには、お金では購えないものがたくさん
あるはず。「お金」という尺度だけで1列に並べようとすること
に無理があるのではないしょうか。もちろん、「お金で購いない」
という表現ができるのも「お金」あってのものなので、話しは複
雑です。同じような課題を抱えた異なる分野が学びあって、うま
い解決策、つまり社会のしくみを全体として作り上げていけるの
が理想なのでしょうね。

そしてもうひとつ。競争によって質が向上したり物事が発展する
というのは、幻想ではないでしょうか? 進化論のメタファー
(比喩)で「生存競争」とか言われますが、現実の進化はちょっ
と違います。生命史を見ればすぐにわかりますが、大きな絶滅が
あって競争の少なくなった時代に生物は大きな発展をしてきたの
です。余裕があっていろいろ験せることこそ、発展の原動力なの
ではないでしょうか。その「余裕」を保障してくれる、つまり少
々の失敗をしても大丈夫だという安心感を持たせてくれる国家で
あって欲しいものです。

蛇足ですが、日本では
> 研修医制度と専門医制度の整備と、それに見合った給料制度と
> いうことになる
は難しいでしょうね。出身大学の名前にはこだわる(良きにつけ、
悪しきにつけ)くせに、卒業後のことや資格には無頓着。18才で
の入試成績よりもその後の精進の方がどれだけ役立つことか!
公務員だって学位があっても給料は変わらない。いや、博士課程
在学で就職が遅れたぶんだけ生涯賃金は損になる。教員研修でカ
ウンセラーの資格をとっても仕事が増えるだけで給料は同じ、と
いう国ですから。もっともこのところの不況で多少は風向きが変
わってきた感じもあります。良い傾向です。
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(コメント)
 国民の安全・幸福を底で支える根幹のシステムである医療制度に、単純
な「弱肉強食」による「生存競争」を持ち込むと、国民の安全・幸福が壊
れてしまう危険性がありますね。

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