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 かかりつけ医通信     第13号   2001年12月3日発行
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    健康・医療のお役立ち情報・・・医療の現場から

▼目次▼
1)医師会について
2)医療制度改革特集号その6
 介護保険制度について概観を見てみます。
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○医師会について
 医師会というと医師の同業者団体ですが、皆さんどういうイメージをもって
いるかよくわかりませんが、概観をみてみます。
●医師数
●日本医師会会員数調査
●医師会の組織率
●医師の年齢分布
●会員の動向
●医師会の性格
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●医師数
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 厚生省の調査によると,平成十年十二月末現在の全国の医師数は248,61
1人で,前回調査の平成八年同期に比べ,7703人の増加となっている.昭
和四十年代後期の「無医大県解消計画」によって医師の養成が強化された結果,
昭和五十年代の後期には医師過剰時代が予想され、平成十年に新規参入医師の
10%削減策が打ち出された。
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●日本医師会会員数調査(平成12年12月1日現在)
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日医会員数は154,588人である。そのうち開業医が52.4%。勤務医は47.
6%です。日本医師会はいわば開業医のみ団体ではないわけです。
都道府県医師会会員数
            人数計  構成割合(%)
総数       154,586     100.0
A(1)会員   80,975      52.4
A(2)会員   31,845      20.6
B会員      40,435      26.2
C会員     1,331         0.9
病院開設者   5,407       6.7
診療所開設者  70,570    87.2
管理者        3,856     4.8
その他      1,142      1.4
A(1)会員 : 病院・診療所の開設者、管理者及びそれに準ずる会員
(病院の開設者、診療所の開設者、病院・診療所の管理者であって開設者で
ない者、その他)
A(2)会員 : 上記以外の会員
B 会 員 : A(2)会員のうち日本医師会医師賠償責任保険加入の除外を申請
した者
C 会 員 : 医師法に基づく研修医であって申請をした者

日本医師会ホームページ
http://www.med.or.jp/

医師会リンク
http://www.osaka-med.ac.jp/~friend-2/toku/links.htm

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●医師会の組織率
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現在の医師会の組織率は154,588/248,611=62%である。
組織率は大都市で低下している。横浜や福岡は開業医で50%を割っている。
A1会員は52%に過ぎない。勤務医の増加が著しい

http://www.okinawa.med.or.jp/kaihou/k9706/genjou.htm
「勤務医の現状と将来」
http://www.med.or.jp/nichinews/n090820p.html
勤務医と地域医療

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●医師の年齢分布
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 2峰性の山で30代後半と70歳にピークがある。最大の山は30代後半。
従って、これから昭和30年代に継ぐ、第2次開業ブームがはじまる。開業医
の世代交代と、開業医の高齢化の歯止めもかかる。
http://www.med.or.jp/nichinews/gif/n130820z.gif

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●会員の動向
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1)開業医の高齢化
 全体では歯止めはかかっているが、高齢化の進行は郡部で著しい.都市部で
は二百二十六・八人,町村部では八十一・一人と格差が大きく,地域のプライ
マリ・ケアが崩壊の危機にさらされている.
2)診療科の地域不均衡
 診療科では,内科が多い,最近では高度専門医療に対応した診療科も増えて
きている.眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科・泌尿器科などは三〇%の郡市医師会で
欠けている.なお,診療科の分布を市町村単位でみると,人口規模を反映して
その格差がいっそう広まる.
3)医師間の過当競争がはじまってきている。
 医師数の増加、介護保険の導入によるよりいっそうの激化
4)勤務医が増加してきている
 地価の高騰による、開業資金の増大。医療の高度化など
5)へき地医療対策が急務である。
 北海道における平成十年度の医療監視結果では,過疎地域,離島に所在する
公立病院八十六病院中,八十二病院が標欠となっており,医師標欠総数は三百
六十五人となっている.
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●医師会の性格
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 医師会は、もちろん医師の学術団体として、あるいは同業者団体としての性
格があります。日本医師会の医療制度に関する提言は新聞などでよく目にすると
思います。しかしメインは、地域における乳幼児・学童・老人などの検診や、
予防接種をはじめとする公衆衛生事業、さらに休日・夜間・年末年始の救急医
療業務などです。介護保険の担い手でもあります。例として広島市医師会の組
織図をあげておきます。行政と提携しながら非常に広範な分野を受け持ってお
ります。いわば地域医療の受け皿なのです。

http://www.city.hiroshima.med.or.jp/hma/soshiki.html
広島市医師会の組織について

http://www.takatsuki.osaka.med.or.jp/pc/uematu.htm
在宅ケアとかかりつけ医大阪府医師会長 植松 治雄

http://member.nifty.ne.jp/TOKU/toku/linkm.htm
開業医の羅針盤
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介護保険について
○介護の市場化
○介護保険の現状
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○介護の市場化
「医療保険の失敗」に、対するアンチテーゼとしての介護保険制度の出現に
より、より医療の市場化が明確になった。

1)民間企業の参入:民間企業の参入。複合経営する医療法人が増加する。
2)保険者の強化:医療では保険者がたくさんいるため、日本では弱体化して
いる。介護保険では、市町村ということで一元化された。
3)フリーアクセスの制限:介護保険では介護認定を受けた者だけがサービスを
受ける。門番(ゲートキーパー)はケアマネージャである。ケアマネの能力がと
われる。
4)給付の制限(混合診療):最低補償として給付の限界を明確にして、医療保
険では認められなかった上乗せサービス、横だしサービスを認める。
5)情報開示:介護計画を明示し、契約して、契約内容をオープンにする。
6)標準化:サービスや介護の標準化を進める。サービスの中身は弱者救済、救貧
対策あるいは所得保障というものではなく、医療保険にはなかった自立を支援する、
あるいは予防を給付する。
7)負担の一元化;保険証は家族という形ではなく、すべての40歳以上の国民が持
つということになる。
8)定額制:逓減制を伴う、一日当たりの定額制。
9)高コストの専門家の排除:医師の役割の相対的低下。より低コストなケアマネ
ージャ、ヘルパーの参入
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○介護保険の現状

サービスの利用状況
1)制度利用率;
 全国平均76%。施設介護は利用率が高いが、在宅がすくない。ある県のデー
タでは特別養護老人ホームなどの施設サービスが94・0%。在宅サービスは
75・3%であった。ホームヘルプは37・7%であった。施設志向でかつ、
退院したがらない傾向がはっきりしてきた。

2)患者負担の急激な増加:
 65歳以上の高齢者は、国の特別対策で、昨年4−9月は保険料を徴収され
ず、昨年10月−今年9月は本来の保険料の半額を納めていた。全額徴収の開
始で、今年は年額ベースで昨年の3倍になる。利用限度額の範囲内でも経済負
担が重く、思うようにサービスが使えないという声が大きい。

市町村による減免措置拡大:
 高齢者の保険料は五段階に分けられ、所得の低い人にはもともと減免措置が
盛り込まれている。それでも、年収二百万円の人と、生活保護対象に近い人の
保険料が同じになる。所得が低いほど相対的な負担が大きい「逆進性」がある

介護保険は家族介護の負担軽減になっていない:
 某県のアンケートの結果では介護者の肉体的・精神的な負担は「(介護保険
以前と)変わらない」が半数近くを占めるほか、「増えた」も20%を超え、
必ずしも家族介護の負担軽減につながっていない。

フリーアクセス制限(ゲートキーパー):
 同上のアンケートでは、ケアマネジャーを通してサービスを依頼することが
面倒が30%台で、最も多かった。

事業者の撤退が多い
 スクラップアンドビルドが激しく、サービスの安定供給にかけるきらいがある。

 できばかりで、まだどういう傾向になっていくかはわかりませんが、現状の
所は、ゲートキーパーが、資質の問題や労働過重などの原因で、十分機能して
いない可能性がある。また負担率が高すぎて十分利用できていないというのが
現状で、最も問題なのは家族介護の負担感が減っていないことかと思いました。
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次号に続きます
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