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かかりつけ医通信 第4号 2001年10月4日発行
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健康・医療のお役立ち情報・・・医療の現場から
▼目次▼
●生活習慣病ってナンダロ・・・「名は体を表わす」か否か。
1.その”体”が意味するもの
2.その”名”が意味するもの
尚、文中の(1)、(2)など、括弧の中の数字は、下記の参考となるホーム
ページの番号です。
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1.生活習慣病の”本体”
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かつて、脳卒中、がん、心臓病を3大成人病と呼び、個別に対応して
いましたが、今や生活習慣が関与する疾患群(1)を”生活習慣病”として、
互いに関連付けて認識し対策を講ずべきである(2)、とされています。
広く一般に知られるようになったこの呼称をGoogle(3)で検索してみると、
既に10万を越えるページがあり、その理解も深まっているか、にみえます。
しかし、実際の医療現場では、随時血圧だけ、或いは幾つかの採血結果
だけを気にして、その一方では飽食はするは、煙草は吸うは、という方も
まだまだ多く、マスコミには怪しげな健康食品の広告が溢れ、生活習慣病
は成人の病気、という誤解も、まだ根強いものがあります。
生活習慣病の予防・治療の根幹は適切な食事・運動と禁煙であり(4,5,
6,7)、その理解にはビデオや漫画で判り易く説明したサイトが役立ちます
(8,9,10)。又、「三つ子の魂百までも」という諺があるように、小児期からの
キチンとした生活習慣の教育・指導が重要であり(11,12,13)、あらゆる職種・
年代の人達にこの”本体”が広く認知されるようになれば、相当の医療費
削減に繋がると思いますが、さて、如何でしょう。
<参考になるサイト>
1)生活習慣病とは(京都市情報館)
2)生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について
3)Google
4)生活習慣病予防指針(京都市情報館)
5)肥満さよならの医学(国立循環器病センター)
6)禁煙情報
7)生活習慣と病気(インパク@NHK)
8)生活習慣病情報(武田薬品)
9)ビデオ図書館(万有製薬)
10)生活習慣病とライフスタイル(ノルバティス)
11)生活習慣病を予防しよう(総理官邸キッズルーム)
12)小児期からの生活習慣(高知県医師会)
13)中学生と煙草の話(秋田県河辺町)
14)健康日本21(厚生労働省)
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2.生活習慣病という”名称”
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成人病と生活習慣病
この言葉の意味や違いがお分かりですか。
高血圧・糖尿病・脳卒中・高脂血症などは以前は「成人病」と呼ばれていました。
それが数年前から突然にこれらの病気は「生活習慣病」と呼ぼうと言う
ことになりました。
なぜ「呼び方」を変えねばならないのか、成人病でもいいじゃないかと、我々
医師も疑問に思っていました。
一面では、「生活習慣病」とはいい概念で、例えは、糖尿病の人に療養指導
するときに、これは生活習慣病だから自分で食事や生活に気をつけなさいと、
説得しやすくて便利な言葉だと思います。
しかし、国はいままでは「成人病」といってきたのに、それを「生活習慣病」
に代えたところに、なにか怪しげなものを感じていました。
それは、生活習慣病と言う言葉にはもう一つのニュアンスがあって、
病気の悪化や進行は「これは生活習慣なんだから、あなたの自己責任ですよ」
というニュアンスなのです。
別の言い方をすれば、自己責任である以上、こういう病気になったり、悪化
してもあなたの責任で、「社会としては面倒をみる必要はないんじゃないで
しょうか」というニュアンスにもなるのです。
「生活を改めないと今後は社会保険で治療を受けられませんよ」という一種の
脅しも含みながら、国は将来は本当に面倒をみない、ということを言おう
としているのではないでしょうか。
生活習慣は一つの要素ですが、糖尿病や高血圧にしても遺伝的因子もあり、
これは本人の自己責任ではありません。
生活習慣病という言葉は、ものごとの一面であって、すべてではないことを
理解して使わなけれはいけないと思います。
いま進められている医療制度改革の医療費削減政策の究極の行き着く先は、
「自己の責任を全うできない人間にまで、僅かなパイを割り当てることは
最早できない」という結論にたどりついていくのでしょうか。
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【MAIL】 nagashi@t-cnet.or.jp
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【発行】 「かかりつけ医通信」発行委員会
【編集】 長島公之(委員長)、安藤潔、本田忠、吉岡春紀、吉村研
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